2013/6/22

日本の歩き方

週末は店の外まで行列ができる(山形県河北町の「一寸亭本店」)

2代目店主の高沢理さん(49)は「最近は河北町以外の地域でも冷たい肉そばを出すようになって、以前よりお客の数は減った。山形自動車道ができる前は店の前の道が仙台から庄内地方へ抜ける幹線道路だったので、ドライブイン代わりに運転手や観光客が立ち寄ってくれた。今よりもっと盛況だった」と懐かしむ。

甘めかしょっぱめか

次に訪れたのが「一寸(ちょっと)亭本店」。「いろは派」と人気を二分する「一寸亭派」のいわば総本山だ。ここも隣の東根市に支店、山形市に山形一寸亭があり、いずれものれん分けした親戚が経営している。

大きなおたまで親鶏と一緒につゆを丼に豪快にかける店主の吉田吉弥さん(山形県河北町の一寸亭本店)

今春、店を改築して席数を100席に増やしたばかり。「週末になると県内全域や仙台方面からお客さまが来られ、改築しても店内では収容し切れずに店の外で待ってもらうほどです」と店主の吉田吉弥さん(69)はうれしい悲鳴を上げる。

平日でも肉そばだけで150食以上の注文があり、早朝からそばを仕込まないと間に合わない。調理場をのぞかせてもらった。大きな釜でそばをゆでるが、太めの田舎そばのためゆで時間は約3分と長めだ。大きな寸胴には茶色のつゆがたっぷりと入っていて、その中にスライスされた親鶏を浸してなじませていた。ゆでたそばが入った丼に大きなおたまでつゆと親鶏をすくってかけ、ネギを加えれば出来上がりだ。

甘めのつゆが特徴の一寸亭本店の肉そば

早速、出されたそばに箸をつける。親鶏から出る脂はできるだけ取り除いていると聞いたが、それでもつゆの表面には濃厚な脂がかなり浮いている。一口飲むとガツンとした風味が鼻に抜け、胃の中に流れ込む。昆布ダシが効いているのか、いろはより甘め。そばのコシも十分にあり、肉もいろはほど硬くないが、しっかりとした歯ごたえだ。

確かに、しょっぱめが好きか甘めが好きかで好みが分かれそうだ。冷たい肉そばの中でも二大潮流を形成している理由がわかったような気がする。

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