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そば王国、山形 「冷たい肉そば」驚きのコクとコシ 東北麺紀行(5)

2013/6/22

山形で飲み会があると、必ず話題になるのがお気に入りのそば屋だ。人によって好みが分かれ、各人が行きつけの店を持つ。山形は信州などと並ぶそば王国。その中でも最近、注目が集まっているのが県中央部にある河北町の名物「かほく冷たい肉そば」だ。

コリコリとした噛み応えのある親鶏がたっぷり入っている(山形県河北町の「いろは支店」)

「肉そばだって、人によって好みがばらばらなんですよ。食べ比べてみたらどうですか」――。肉そばで街おこしを目指す「かほく冷たい肉そば研究会」の逸見朋愛事務局長は言う。確かに百聞は「一食」にしかず。こうして肉そば行脚の日々が始まった。

■実は常温のつゆ

冷たい肉そばの定義を簡単に説明しよう。しょうゆ味を基にした濃厚な鶏ダシの冷たい汁そばで、山形特有の黒っぽくてコシの強いそばを入れ、具には肉の硬い親鶏と刻みネギだけを使う。他の具材は一切入れない実にシンプルなそばだ。つゆは鶏の風味を損なわない程度にカツオと昆布をきかせ、そばはつなぎ入りの田舎そばを使う。

積雪が1メートル以上ある真冬でも、河北町民の大半は冷たい肉そばを好んで食べる。もっとも冷たいと言っても、もう1つの山形名物「冷やしラーメン」のように氷を入れて冷やしているわけではなく、むしろ常温に近い。冷やしすぎると鶏の脂が白く浮かび上がり、しつこさが前面に出てしまうからだ。

河北町の中でも中心部の谷地(やち)地区が発祥の地とされ、現在も20軒ほどが味を競い合っている。まず、向かった先は「いろは支店」。肉そばファンの間で「いろは派」と呼ばれる人気系列店の1つだ。谷地にはほかに本家筋が経営する本店と、同じく分家筋が経営する分店があり、みな親戚という。

昼すぎとはいえ平日でもかなりの混みようだ。早速、冷たい肉そばを注文した。並盛りで650円。ほかの店もだいたい値段は同じくらい。ほどなくして運ばれてきたそばは、多少茶色がかったつゆにやや細めの黒っぽい麺。その上にスライスされた鶏肉と刻みネギが麺を覆い隠すように載っている。

一口、つゆをすする。口の中に濃厚な鶏のダシと脂が広がる。多少しょうゆの味が勝っている感じで、味はややしょっぱめ。麺は山形のそばにしては軟らかめだが、それでも十分にコシがあり喉にツルツルと入る。

驚かされたのは親鶏の肉の硬さだ。このあと何店が回ったが、この店の肉が一番硬かった。コリコリとしてなかなかかみきれない。「歯の悪いお年寄りはダメだろうな」と余計なことを思い浮かべてしまうほどかみ応えがあった。でも、不思議なことに、スルメイカのようにかめばかむほど味が出る感じで、癖になる食感だ。

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