渋谷駅の不便な乗り換え、6年の我慢で解消へ副都心線繁盛記(1)

青山・表参道への流れも

買い物客の流れも変化が生まれているようだ。「ヒカリエができたことで青山方面と渋谷駅との間を歩くOLも増えた」(大友氏)。

渋谷駅から表参道までは歩くと約20分。決して近いとは言えないが、青山学院のあたりからもヒカリエは間近に見え、歩いてみようかなという気になる。

渋谷駅からヒカリエ2階の施設内通路を抜けると、宮益坂を登り切った場所に出る。これまで宮益坂を登って表参道方面に通勤、通学していた人でも、この通路を通ればこう配が少なく、雨にぬれずに移動できる。

1970年から表参道沿いで店を構える「とんかつ志味津」に聞いてみた。「副都心線が直通した昨年から、(以前はあまり見かけなかった)OL姿の客が増えた」(店長)という。

東急グループは、渋谷再開発の目標として「大人の街」「歩きやすい街」を掲げている。今のところそれはヒカリエとその周辺では実現しているようだ。

さて、ヒカリエとは線路をはさんで反対側。「渋谷109」などがあり、「ファッションの発信地」と目されてきた西口方面はどうか。

メーンストリートの名称を「バスケットボールストリート」に変えた渋谷センター街。ひところは「チーマー」と呼ばれる若者が増え、怖い街という印象もあった。 渋谷センター商店街振興組合の小野寿幸理事長は「スポーツに健全な街のイメージを託した」と語る。

商店街には「触るとシュートが入る」というバスケットボールのモニュメントを配置。イメージアップに努めるが、店からは「新しい名称の定着はまだまだ」という声も聞かれる。

小野理事長はセンター街で創業105年の「フルーツパーラー西村」の経営に携わっている。

「高度成長期は大学生が喫茶店のコーヒーやレコードを楽しみに渋谷に来た。その後、渋谷109などができて若者ファッションの発信地になり、時代とともに街の風景が変わってきた」

とはいえ「渋谷は若者にとってあこがれの街」(さいたま市から買い物に来た女子高生)であることに変わりはない。渋谷109には首都圏ばかりでなく「沖縄からショッピングに来た」という女性の姿も。

新しいビルが続々と計画されるなか、センター街に代表される混沌とした雰囲気も、渋谷の魅力であり続けるのだろう。(高畑公彦)

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