聖地・松阪で肉三昧、高級和牛のみにあらず

日本を代表する食のブランド「松阪牛」。その産地である三重県松阪市では多くの焼肉店が店を構える。本場だけに老舗高級店だけでなく、ユニークなスタイルの店舗や産地でしか味わえない松阪牛のホルモンを提供する店もある。さらにB級グルメの「鶏焼き肉」やプレミアムな豚肉も楽しめる。松阪で肉三昧としゃれ込んだ。

皿に載せられ回転レーンを流れる松阪牛の肉(一升びん宮町店)

一見回転ずし、実は鮮肉が回る

JR・近鉄松阪駅に降り立つと、駅前のロータリーに沿って小さな松阪牛のモニュメントが並ぶ。ここから松坂城跡や市役所がある中心部にかけて、老舗すき焼き店の「和田金」「牛銀本店」や、「ステーキハウス三松」など有名店が点在している。こうした高級店で最高ランクの松阪牛を注文するなら、1人当たり1万円を超えることを覚悟しなければならない。だが一方で、地元・松阪には庶民にも手が届くリーズナブルな店も少なくない。

回転レーンは冷蔵ケースを兼ねている(一升びん宮町店)

まず訪れたのが「一升びん宮町店」。一升びんは松阪を中心に比較的低価格の焼肉店を展開しているが、何も知らずに宮町店を訪れれば、回転ずし店に迷い込んだと思うだろう。店内では回転ずし同様、色の違う皿に載った肉がレーン上をぐるぐると巡っているのだ。

肉の鮮度を保つために透明カバーで覆って冷気を満たした特注レーンで、皿を取り出す時にボタンを押してカバーを開ける仕組みになっている。1皿は100~1150円で、メニューは松阪牛だけでも15種類。さっそく最高価格の「松阪肉特選」(1150円)をレーンから取り出し、特製の味噌ダレを絡めて焼いてみる。とろける脂が甘辛いタレと絶妙なハーモニーを奏で、松阪牛の実力のほどを思い知らされる。脂のしつこさも感じない。「松阪肉赤身」(550円)は赤身といいながらサシも入っている。4月の消費増税に伴い価格改定を考えているというが、「松阪肉カルビ」(650円)などと松阪牛らしからぬ価格帯のメニューが並ぶ。「松阪肉切り落とし」に至っては350円。歯応えのある赤身だが、松阪牛らしいうまみも感じられた。

「松阪牛を一頭買いしているため、様々な部位を楽しんでもらえるように、社長が回転ずしスタイルを考えた」(山口幸治店長)という。一皿の量は一升びんの他店の約半分で、価格も半分程度にしており、色々な部位を試しやすくなっている。

一升びんにはもう一つユニークな店がある。「一升びん本店はなれ」。3年ほど前に「一人旅で来ても気兼ねなく食べられるように」(浅井松寿社長)と開店。松阪牛のすき焼きとしゃぶしゃぶを1人用の鍋で提供する。最高級「A5」の松阪牛を使った「松阪牛 特撰すき焼」でもご飯などが付いて5500円。最初はスタッフが焼いてくれるが、後はセルフサービスにすることで人件費を抑え、値ごろ感を出しているという。訪問時には撮影に時間を取られて少し焼き過ぎてしまったが、それでも驚くほど柔らかく、マグロのトロを思わせる味わいだ。味付けは割り下を使う関東風。カウンター中心の気軽な雰囲気だが、予約が必要なので注意が必要だ。