神社で買い物

JR常磐線と東武アーバンパークラインが乗り入れる柏は、駅を挟んでそごう柏店と高島屋柏店が立つ千葉県内有数の商業地だ。旧水戸街道を越えた一帯で、賃料が安い裏カシには10年ほど前から古着屋や雑貨店が集まり、人気となった。

柏駅はそごうと高島屋が並び立つ一大商業地だ

週末になれば高校生や大学生が押し寄せ、駅前の柏インフォメーションセンターでは「手製の裏カシマップを求める若者で行列ができた」(柏市ブランディングアドバイザーの藤田とし子さん)ほど。若者目当てに出店が続く好循環が生まれた。

裏カシはテレビや雑誌にも取り上げられ、古着の着こなしを競うファッションイベントも開催。柏駅前ではプロを目指す若者が夜ごとにライブを繰り広げた。だが最近は、大型ショッピングモールが近隣に続々登場、古着ブームも去って店をはしごする客の姿はめっきり減ってしまった。

そんななか、人気を集めているのはこんなイベントだ。

柏神社の境内で手作りのお菓子や洋服を売り出す市が毎月開かれる(15日、柏神社)

ワールドカップの日本代表戦があった15日。試合が終わってしばらくすると、旧水戸街道に面した柏神社に人波が押し寄せてきた。境内では09年から毎月、手作りのお菓子や洋服、雑貨の販売会「手づくりての市」が開かれている。

千葉県印西市から夫婦で来た菊池隼人さんは「手作りの品は温かみがある」と話し、せっけんやアクセサリー、ベーグルなど袋いっぱいに買い込んだ。毎回30店前後が出店し、1000人ほどが訪れる。柏駅東口から歩いて5分、繁華街の近くにもかかわらず、ゆったりした時間が流れる。買い物をした後に参詣する人もいる。

運営するのはストリートミュージシャンのライブコンテストやファッションイベントを開催してきたストリート・ブレイカーズ。市街地に人出を呼び戻そうと、従来とは違った切り口のイベント「手の市」が生まれた。

5年前の初回は7店しか集まらなかったが、インターネットで手作りの小物を販売する女性たちの間で「近所のお客と直接やりとりできる」と良さが伝わった。今では多くの出店希望が寄せられ「断るケースもある」という。

ゆったり過ごす街に

柏二番街商店会の石戸新一郎理事長は「若者が買い物を楽しむ街から、大人がゆったりと時間を過ごせる街に変わる必要がある」とみる。

チャンスはある。柏駅の周辺では高層マンションの建設が相次いでおり、今後も子育て世帯の流入が見込まれる。こうしたなか、裏カシで青春時代を過ごした世代が柏に戻り新風を吹き込み始めた。石戸さんは「裏カシ世代」がもたらす変化を心強く感じている。(上月直之)

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