2014/5/19

日本の歩き方

浅草花やしきは東京スカイツリー効果などで入園者数が過去10年で最高に

震災や戦禍で閉園を余儀なくされた時代を経て、1949年に遊園地として再建。東京スカイツリーの開業や160周年のキャンペーン効果を追い風に、13年度の花やしきの入園者数は前年度比7%増の53万7000人と、過去10年で最多となった。

今後、注力するのはエンターテイメントを追求したビジネスだ。今夏をメドに忍者を体験できる道場を新設。芸者の踊りを楽しめるショーなども計画する。目指すは総合娯楽場だ。

「かつては芸能などの楽しさがそこらじゅうにあった街。それが浅草ですからね」と弘田昭彦社長は言う。

復活目指す「六区」

浅草寺の西側の一角、東京最大の歓楽街だった「浅草六区」。1903年には日本初の常設映画館が誕生。昭和初期の最盛期には映画館や劇場が30館以上密集し、いつも人でごった返していた。

テレビが普及した60年代以降は衰退してしまった六区だが、かつてのにぎわいを取り戻そうと、再開発が活発化している。

東京楽天地はボウリング場などがあった場所に13階建てのビルを建設、14年末にも開業する。高層階はホテル、低層階は「まるごとにっぽん(仮称)」と銘打った施設とし、全国の特産品や工芸品などが楽しめるようにする。

劇場の復活も相次ぐ。松竹は閉鎖した映画館を建て替え、劇場が入る「マルハン松竹六区タワー」の建設計画を進めている。建物の一部には明治、大正時代に浅草のシンボルだった塔「凌雲閣」を再現する。

これに先立ち4月29日、浅草ROX(東京・台東)にレストランシアター「浅草六区ゆめまち劇場」が開場した。収容人数は着席時で150人。から揚げや生ビールなどの飲食をしながら舞台を鑑賞できる。

クルーズ船に乗って浅草や東京スカイツリーに行く客も多い

特長は外国人観光客も意識した演目だ。劇場のこけら落としを務めたのはサイレントコメディー・デュオ「が~まるちょば」。アニメのような動きを採り入れたパントマイムは海外でも知名度が高い。日本語が分からなくても楽しめる。

同劇場の運営会社の代表を務める熊手和宏氏は「浅草をエンターテインメントの中心に戻すために、外国人の誘客は欠かせない」と説明する。

浅草をニューヨークのブロードウエーのような劇場街に――。相次ぐ劇場計画の背景には、街にかかわる人たちのそんな思いがある。

魅力がぎっしりと詰まった浅草だが、有名な浅草寺や仲見世通りだけに立ち寄る人も少なくない。

「観光客が行ってみたいと思う場所をいかに拡充し、滞在時間や消費を拡大させていくか」(花やしきの弘田社長)が今後の課題だ。(細川倫太郎)

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