見た目は魚・食感ホルモン! 男鹿・棒アナゴの正体は東北魚紀行

伝統行事の「なまはげ」で知られる秋田県男鹿市。ここで夏のスタミナ食といえば、ウナギではなくアナゴ。アナゴといってもおすし屋さんの人気メニューとは全く別物の「棒アナゴ」だ。

その細長い姿は確かにアナゴに似ている。焼いて食べると皮はパリパリ、身をかみしめるとホルモンのような食感。知る人ぞ知る珍味だ。

焼かれた棒アナゴ。大根おろしをのせて食べる

魚類ではない?

棒アナゴの正体はクロヌタウナギ。体長は30~50センチメートルほど。名前はウナギだが顎も骨格もエラもなく、厳密にいえば魚類でもない。ヤツメウナギに近い仲間で青森県以南の広範囲に生息するが、日本で食習慣があるのは男鹿のほかには新潟県の一部など。漁師料理として食べられてきたもので、食用として広く流通はしていない。

その棒アナゴを名物料理にしている男鹿温泉郷の居酒屋「福の家」を訪ねた。秋田三味線の生演奏を聴きながら食事ができる店で、休日には周辺の温泉ホテルから浴衣姿の客も訪れる。

メニューにある「男鹿産あなご焼き」(1890円)が棒アナゴ。一口大の筒切りにしてあり、添えられた大根おろしをのせて口に運ぶ。恐る恐る身をかみしめるとほのかな潮の香り。そして脂がじわっと広がり、確かにホルモンを思わせる。店主の伊藤善春さんは「昔から男鹿の漁師の家族や親戚で食べられていた珍味のひとつ。酒のさかなにぴったりです」と話す。