男が変わった 日本生命、男性育休取得100%達成

育休を取得した日生の男性10人への調査でも「子育て中の女性の急な休みを理解できるようになった」(30代・労務部門)との声が聞かれた。

育休をとる上で気がかりなのが、仕事の調整がつけられるか。村田さんの直属の上司、法人営業企画部の伊東輝雅課長は「出張などで長期不在になる場合にも育休の経験を生かし、計画的に業務の段取りをつけるようになった」と村田さんの変化を評価する。

育休を取得した男性への調査では「計画的に業務を進め、組織内で連携がとれれば休めるとわかった」(30代・法務部門)、「効率的に働き、早く帰ることを意識するようになった」(30代・商品開発部門)などの感想があった。男性の育休取得は、長時間労働が当然だった日本人の働き方を変える可能性も秘める。

男性が私的な目的で休む風土が根付けば、育児以外にも看病や介護などを理由に休みやすくなる。高齢化の進展で育休を取得する女性よりも介護休業が必要な男性が増えるとの指摘もある。

政府も力を入れる。厚生労働省の調査では、12年度の育休取得率は女性83.6%に対して男性は1.89%。政府は女性の活躍を推進するため、20年までに男性の育休取得率を13%にする目標を掲げている。

「子供の変化が分かるようになった」と語る村田さん

今国会では、育休中の所得を補う「育児休業給付」の拡大が正式に決まった。これまでは子どもが1歳になるまで育休前の賃金の5割を補償してきたが、育休の当初半年間だけ3分の2に引き上げる。共働きの夫婦が交代で育休をとれば、半年ずつ最大で計1年間にわたって、育休中の夫か妻が育休前賃金の3分の2を受け取れる。収入が減ると消極的だった男性の育休取得を後押しする。

もっとも、最大の壁は職場環境。厚労省の調査では、男性が育休を取得しなかった理由で、経済的な理由が22%なのに対し、育休がとりにくい職場の雰囲気をあげた人は30.3%で最多だった。

1週間の夫の育休は女性の十分な負担軽減につながっているとは言い難い面もある。だが父親の育児参加を支援するNPO法人、ファザーリング・ジャパンの徳倉康之事務局長は「大半の企業はまだ男性の育休取得に否定的。会社の号令で意識を変えられたのは大きい」と日生を評価する。国による仕組み作りとともに、各職場が意識改革を進めることが、男性の育休取得を増やすカギになりそうだ。(平野麻理子)