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男性がまず変化を グラットン教授が語る女性の未来

「ワーク・シフト」著者

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NIKKEI STYLE

 これからの個人の働き方や企業のあり方について著書などを通じて提言しているロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授。6月に来日したグラットン教授に、日本企業やそこで働く女性がより豊かな未来を迎えるための処方箋を聞いた。

――著書「ワーク・シフト」で、高齢化やグローバル化、テクノロジーが進んだ未来の働き方として、時間に追われ稼ぐための仕事ではなく、価値ある経験を主体的に選ぶ働き方へのシフトを勧めた。日本人の働き方をどうみるか。

「昨年、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)と共に世界各国の若者6万5000人を対象にアンケート調査を行った。日本の若者は群を抜いて長時間働いていた。そして彼らにとって職場にいるということを見てもらう、認識してもらうということが重要だと。明らかに他国よりも長時間働き、全く違った群にいるのが日本の若者だと言える。理由は社風であるとか、他社も長時間労働しているので自分たちも長時間労働しなければいけないという回答だった」

――日本はシフトが進んでいないと。

「私の『ワーク・シフト』は日本でもよく読まれた。今回来日して思うのは、多くの日本人が変わりたいと願っている、しかしその変革を遂げる自信がないと。そのためにもリーダーが絶対不可欠だ。そしてシフトをリードしたところが模範になっていくのだと思う」

――新しい働き方をリードするのは?

「世界各国の若者の間で男女問わず、より多くの時間を子どもと過ごしたいと願う人が増えてきている。その意味で、女性の働き方や職場環境の変化をリードするのは男性だ。男性がもっと子どもといたい、つまり親業をしたいと思うと、その結果、女性の働き方が変わる。日本でも男性が声をあげて、自分は早く帰宅したい、子どもと一緒に時間を過ごしたいと言えば、おのずと女性のワーク・シフトも起こってくるだろう。少なくとも米国では男性が女性のワーク・シフトを促すと言われている」

――組織の幹部層は子育て世代ではないので、なかなか変わらないのでは。

「経験軸が全く違うので、世代間での摩擦はあると思う。若い世代は技術を駆使して育った世代だし、管理層はさほど子どもと時間を過ごさずにきた。その結果、夫婦関係も世代間で違いがある。今の若いY世代と呼ばれている人たち(注:1980~95年ごろの生まれ)は、特に欧米諸国で言えることだが、働く女性と結婚することが多い」

――男性が新しい働き方をリードするということだが、女性だけでは変われないのか。

「政府、企業、女性、男性の4つが互いに自分の役割を果たすことによってシフトを実現できる。例えばノルウェーの政府は、企業の経営陣の何割が女性でなくてはいけないということを法制度として整備している。そういった環境が整うと、次に企業、女性、男性といった形で進んでいく。日本の政府は一歩を踏み出したと思うので、その効果を今度は企業、そして女性、男性という形で落とし込んでいくことが重要で、この4つの連動がシフトを起こすには不可欠だ」

「これまで日本企業は女性の能力をフル活用していないと海外で認識されていた。例えば、欧米企業が日本に進出すると、とても能力の高い女性を雇えるので喜んでいた。日本の有能な女性は欧米諸国の多国籍企業に雇用されているというのが一般的な認識だったのではないか。日本企業にとっては大きな損失だが、欧米企業にとっては大きなプラスだった」

「すべての日本企業とは言わないが、まだ古い働き方に固執しているところがある。そうした働き方は今は欧米諸国では見られない。そうした状況であるが故に今回、近く日本でも出版される『未来企業』という本を書いた。本の中には20の企業の例があり、どういった働き方があるかを示している。世界各国の状況を見ることが重要で、ほかの会社がこんなことをやっている、こんなパターンもあるということを知れば、日本の企業ももっと自信を持ってワーク・シフトできるだろう」

――グラットン教授たちの調査で、ヨーロッパの企業幹部で、男性幹部のほぼ100%が子どもがいたのに対し、子どもがいる女性幹部は60%に満たなかったという結果があった。女性はまだ少数派で、組織の中で意味のある仕事をしようとすれば男性よりも多く働くことにつながらないか。

「より女性にとって難しいということは言える。男女を比べると女性の方がより多く家事をやっている。家事も労働時間に合算すれば長い間働いているのは女性だ。日本の今の長時間労働では、日本の企業で働いて子どもを産むということは女性にとってほとんど不可能な状態になっている。しかし、長時間働いたから生産性があがったというような調査結果は全くない。長い時間働けばいいというような思考から抜け出す必要がある。そうすれば、男性も女性も家に早く帰れて、子どもと過ごすことができる。そうした動きは今まさに企業にも起こりつつある」

教授からのメッセージ
大学生やもっと若い女性たちへ
 目をしっかり開いて情報を捕まえることをアドバイスします。テクノロジーやグローバル化など仕事に関わるトレンドの変化に敏感でいて、自分や就きたい仕事にどう影響するか気をつけていてください。今後の選択のために良く考えてみてほしいです。
社会に出たばかりの女性へ
 先輩にどうやって今の地位にたどり着いたか質問してみてください。キャリアの針路を見つけ、数々の難しい選択をする際に力になってくれるメンターを見つけることを強く勧めます。社内でも社外でもいいですが、男性の方がより役立つかもしれません。
働くお母さんたちへ
 集中して一生懸命努力するのが大きなカギですが、私は自分が世界一の母親ではなく「及第点の母」で良いとわかったことが大きかった。子どもは大人が思うよりしなやかで強い。「スーパーウーマン」の理想を捨て「及第点」でいいと考えるべきです。
リーダー世代の女性たちへ
 今日のリーダーには、世界的な課題に視野を広げ自社がどう関われるかを考える外的な探求と、自分自身をよく知り困難な状況にどう対応するかを知るために行動する内的な探求が求められます。それが部下の信頼と支えを得るのにつながるはずです。
男性ができること
 パートナーのためには家での役割をしっかり果たすことです。家庭での平等が職場での平等につながるでしょう。職場では女性が能力を発揮するのを妨げているかもしれない社内の偏見や障害の存在をもっと意識し取り除くよう努力することです。

――女性自身ができることは?

「まず自分の職種を選ぶ、キャリアパスを選ぶということだ。例えば、トップに立とうというキャリアパスもあれば、そうでないのもある。自分がどっちのキャリアパスを歩みたいかを考える。そして2つめに、そのキャリアパスに合ったメンター、つまり自分に色々な助言をしてくれる先輩を的確に見つけることが大変重要だ」

「メンターは必ずしも女性でなくても男性でも構わない。自分よりもはるかに年上の人をメンターにすることが重要なので、今の社会構造を考えると、どうしても男性になってしまうのではないか。英国では、能力のある若い女性を抜てきし、他の会社の役員がメンターになるというプログラムが非常に成功している。民間主導で、全国で20社くらいが参加している」

――4つめの男性ができることは?

「男性はもっと家事ができるはず。男性ができる最も重要な役割だ。欧米の若い世代では男性が働く女性と結婚することが多く、昨今はとてもバランスがとれた形で父親も母親も育児に関わるようになっている」

――日本の男性は、欧米の男性の3分の1くらいしか家事・育児をしないという調査結果がある。女性がするように仕向けないといけないのか。

「そうだ。言うまでもなく」

――グラットン教授は2人の息子を持ち、1人めの時はビジネススクールで初めて妊娠した教授だったということだが、経験を踏まえ、子育てしながらキャリアを積むことに対するアドバイスを。

「0歳から5歳までが一番大変なので、最初のアドバイスはだんだん楽になるから、ということだ。2つめのアドバイスは、1日も早く復職することだ。というのも、2年ブランクがあると、もう復職しないという調査結果がある。3つめのアドバイスは、働く母親を応援してくれる会社を探すことだ。私は以前、コンサルティング会社で働いていたが、研究職に転職したのは、どうしても仕事に時間をとられて子育てが無理だと思ったからだ。これは会社にとっては損失だったと思う。私は最も若いパートナーだったので。母親をサポートする体制をとらなければ、日本の企業も同じような轍(てつ)を踏むことになってしまうかもしれない」

(聞き手は女性面編集長 橋本圭子、木寺もも子)

あなたの2025年の生活は?
 グラットン教授は、日本経済新聞社主催「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット2014」で講演、企業と個人の進むべき方向など持論を披露した。講演を聞いた参加者がそれぞれ思い描いた"未来予想図"は――。

海外で働く夢実現へ

後藤悠さん(コンサルティング関連、36歳) 2010年にコンサル会社を起業した。講演を聞き、企業は個人の力をいかに引き出すかが重要で、個人は仕事と家庭の両方が大事であることを改めて確認できた。

今夏に第1子を出産する。母親として自分らしく生きる姿を見せてあげたい。女性の心と体を支えるために、社会や組織の支援はとても大切だと感じる。

2025年には海外で働く夢を実現したい。今はコンサル業だが、実際に事業を手掛けてもみたい。企業の社外取締役として活躍する道もあり、1つに決めてはいない。人生は一回きり。軌道修正しながら夢に近づきたい。

プライベートも重視

中村順子さん(秘書、31歳) 契約社員として商社で社長秘書をしている。秘書としての職場は4社目。23歳で結婚、当時は仕事が忙しく家庭との両立で悩み、通いやすさややりがいなどで今の仕事を選んだ。「これから人の一生はますます長くなる。女性も長く働き続けるべきだ」という教授の話には納得。どう働くかを真剣に考えたい。

関心があるのはリーダーシップだ。リーダーの考え方や行動様式を知ることは仕事に役立つ。一方でプライベートも重視していて、好きなワインやチーズ関連の資格も取れた。いずれは子どもも欲しい。起業も考えており、10年後は会社員ではないのでは。仕事と家庭が両立できる現在の生活スタイルは貫きたい。

働き方の変化に期待

深谷優さん(電機、25歳) 複合機メーカーの営業職として4年目。顧客企業を回る日々だ。印象深かったのは、グラットン教授が予言する「ワーク・シフト」の動き。技術が進み、どこからでも仕事が可能になる。会社の拠点はなくなっているかもしれない。

海外の人ともすぐ隣にいるような感覚でコミュニケーションできるようになる。営業は相手と顔を合わせることが大切なのでなくならないと思うが、遠隔勤務やフレックス勤務は増えそうだ。

現在は独身。36歳になる25年には結婚して子どもも育てていたい。もちろん、仕事は続けるつもりなのでワーク・シフトは大歓迎。2025年が明るく見えてきた。

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