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「女性に優しく」勘違いなくせ ダイキン・井上会長に聞く 産休社員の早期復帰を支援

2014/4/12

 ダイキン工業が「育休3年」を掲げる安倍政権に逆行するかのような大胆な女性活躍推進策を打ち出した。出産から6カ月未満で復職した社員には最初の1年のみ60万円まで保育費補助を支給するという。なぜそこまでやるのか。井上礼之会長兼最高経営責任者(CEO)に同社独自の人材育成策を聞いた。

井上礼之 ダイキン工業会長兼CEO

 ――出産後の早期復職を促す企業の試みとしては異例だ。

 「当社の女性社員で最も多いのは30歳前後。この層に会社の覚悟を示すことで、辞めずに管理職を目指す女性が増えると思ったからだ。本人にとってもブランクは短い方が現場感覚が鈍らないし、キャリア形成もしやすい」

 「出産後に復職した女性社員を戦力外扱いする日本企業は多いが、当社は2年前から発想を切り替えた。『子どもはどうぞ産んでください。その代わり、働く意欲のある人材は早く復帰せよ』と」

 「育休を丸々取得し復職した社員には通常、毎年20万円を上限にベビーシッターなどにかかった費用を補助してきたが、2012年から出産後11カ月未満の復職者には最初の1年のみ計30万円まで支給し始めた。今月からはさらに前倒しで戻る人には大幅に増額することにした」

 ――女性の活躍推進に今なぜ、力を入れるのか。

 「空調で世界一になったとはいえ、グローバル市場では新しい顧客が常に加わり、ニーズが急変している。世界145カ国で事業展開する当社の連結売上高に占める海外比率は70%超。経済社会がこれだけパラダイムシフトしているのに、過去の成功体験に固執して『新卒採用の日本人男性社員』で組織を固めたままでは市場ニーズの変化に対応できない。女性を含め多様な人材の活用なしに世界市場で競合他社に勝てない」

 ――女性の管理職を増やすための数値目標をあえて公表しないのはなぜか。

 「数合わせになりかねないからだ。3年前に女性の活躍推進に着手して各部署の女性社員や女性の部下を持つ管理職の声を収集したところ、皆の意識は『勘違い』だらけだった」

 「管理職は出産を経て復職した女性には大変そうだからと責任ある仕事をさせない。それを『優しさ』と勘違いしている。そんな上司を『優しい人』と思い込む女性もいた。そこに安住していたら戦力外扱いされかねないのに。この『勘違い』がある限り、女性の幹部や管理職は育たないと思った」

 ――「優しさの勘違い」をどう払拭しているのか。

 「一にも二にも意識改革だ。管理職研修では『出産は病気ではない』『キャリア形成を考えた業務の与え方をするのは管理職の仕事』と言い続ける。復職した女性への仕事の与え方も管理職の人事考課の対象にし、キャリア形成を考えた業務を与えるよう仕向けた」

 「女性社員には早くて20歳代で幹部候補者向けの研修に参加させ、トップ自ら『優しさの勘違い』を説いている。若いうちから男性同様に切磋琢磨(せっさたくま)しながら仕事をする機会を与えることもキャリア形成面で重要だ。仕事の醍醐味を味わった女性は出産しても辞めない。女性の離職率は1999年度の10.3%から4.8%まで半減した」

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