本マグロに匹敵 庶民のメバチ、秋は別物のうまさ

2013/10/29

本日入荷 おいしい話

目がパッチリしているので「メバチ」と呼ばれる(宮城県塩釜港)

10月10日は何の日か。「体育の日」というのは正確ではない。1964年の東京五輪開幕を記念したこの祝日は10月の第2月曜日に変更された。あまり知られていないが10月10日は「まぐろの日」である。

知名度は低いが由緒は正しい。西暦726年10月10日、歌人の山部赤人は聖武天皇のお供をして兵庫県の明石地方に赴いた。マグロを取って活気づく浜の様子を詠んだ歌が万葉集に収められている。旧暦の10月10日は現在なら11月。冷凍物の普及で季節感が乏しくなったが、生のマグロの旬はまさに今なのだ。

目がパッチリだから「メバチ」

水温が下がるこの季節、マグロは餌を食べ込み、体内に脂を蓄えていく。青森県大間町に代表される津軽海峡のクロマグロはもちろん、東京・築地市場のプロたちがこぞって推すのがメバチマグロだ。

目が大きく、パッチリしているから「メバチ」の名が付いた。愛嬌(あいきょう)があり、スーパーや回転ずしでも定番中の定番なのだが、一般的な評価は必ずしも高くない。イカの世界では「真イカ」といえば庶民派のスルメイカのことだが、マグロの世界で「本マグロ」といえば上質なトロが取れ、希少価値も高いクロマグロのこと。量より質が重んじられている。

流通の大半は冷凍物だ(東京・築地市場)

築地の仲卸店「西誠」の小川文博さんは「メバチの評価は不当に低い。この季節に宮城県塩釜や千葉県銚子で揚がるものを食べれば、本マグロにも遜色ない魅力を感じてもらえるはず」と言う。

温帯に生息するクロマグロに対し、メバチは赤道を挟んだ熱帯海域に分布する。水温が高い分だけ身の締まりが甘く、脂も少ないが、餌を追って日本の東沖まで北上する秋には別物のようなうまさを発揮するのだという。

果たして違いは誰にでも分かるのか。職場で試食会を開いてみた。

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メバチと本マグロを食べ比べ