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本マグロに匹敵 庶民のメバチ、秋は別物のうまさ

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NIKKEI STYLE

10月10日は何の日か。「体育の日」というのは正確ではない。1964年の東京五輪開幕を記念したこの祝日は10月の第2月曜日に変更された。あまり知られていないが10月10日は「まぐろの日」である。

知名度は低いが由緒は正しい。西暦726年10月10日、歌人の山部赤人は聖武天皇のお供をして兵庫県の明石地方に赴いた。マグロを取って活気づく浜の様子を詠んだ歌が万葉集に収められている。旧暦の10月10日は現在なら11月。冷凍物の普及で季節感が乏しくなったが、生のマグロの旬はまさに今なのだ。

目がパッチリだから「メバチ」

水温が下がるこの季節、マグロは餌を食べ込み、体内に脂を蓄えていく。青森県大間町に代表される津軽海峡のクロマグロはもちろん、東京・築地市場のプロたちがこぞって推すのがメバチマグロだ。

目が大きく、パッチリしているから「メバチ」の名が付いた。愛嬌(あいきょう)があり、スーパーや回転ずしでも定番中の定番なのだが、一般的な評価は必ずしも高くない。イカの世界では「真イカ」といえば庶民派のスルメイカのことだが、マグロの世界で「本マグロ」といえば上質なトロが取れ、希少価値も高いクロマグロのこと。量より質が重んじられている。

築地の仲卸店「西誠」の小川文博さんは「メバチの評価は不当に低い。この季節に宮城県塩釜や千葉県銚子で揚がるものを食べれば、本マグロにも遜色ない魅力を感じてもらえるはず」と言う。

温帯に生息するクロマグロに対し、メバチは赤道を挟んだ熱帯海域に分布する。水温が高い分だけ身の締まりが甘く、脂も少ないが、餌を追って日本の東沖まで北上する秋には別物のようなうまさを発揮するのだという。

果たして違いは誰にでも分かるのか。職場で試食会を開いてみた。

メバチと本マグロを食べ比べ

用意したのはハワイ周辺で取れた冷凍メバチ(A、小売店なら100グラム500円)、塩釜で揚がった生メバチ(B、同800円)、地中海産の天然生クロマグロ(C、同1400円)の3種類(価格は推定)。正体を明かさず同僚4人に食べ比べてもらい、感想を聞いた。

まずは試食の現場となった社員食堂を偶然通りかかった知り合いのH君。「Aは良く締まったきめ細やかな身質。握りに合いそう。Bはやや淡泊だけど、これが好きな人もいそう。Cはジューシー。いかにも生のマグロという感じ」。好みはA、C、Bの順だった。

普段、社食なんぞにまず足を踏み入れない美食家のSさんの格付けはC、B、Aの順だった。「Cはうま味、脂の乗りとバランスがいい。Bは脂が乗っているのにしつこくない。Aはうま味が強くてジューシーだが、やや味が濃すぎる」との寸評だ。

テレビドラマ「半沢直樹」に夢中になり、番組終了後は専ら自らモノマネしているI君は同ドラマの常務を模したと想像される口調で持論を開陳した。「Aはすしネタにピッタリで、いかにも本マグロという感じだねえ。それに比べると冷凍メバチと思われるBは柔らかく、ぜい肉のような食感といった印象を受ける。Cは色が人工的に赤いところがあるが、しなやかな魚体を思わせる。いや、これが生メバチだろう」。好みはC、A、Bの順。

最も若く、美食家とはいえないが、見えを張って高級すし店に行くことがあるM君は自信をみなぎらせていた。「Aは水っぽくて味がスカスカですよ。Bは庶民的な味。Cは食感が滑らかで最も高級感があります」。好みの順はC、B、A。

正解を明かすと、すべて外したI君はドラマのクライマックスの常務よろしく、足を逆Yの字にして15秒ほどかけて崩れ落ち、歌舞伎じみた土下座をして不明を恥じた。それぞれの値段に最も見合った感想だったM君はその横で勝ち誇ったような笑みを浮かべた。4人中3人が最もおいしいと評価したクロマグロはやはり強かった。

ちなみに筆者自身は3種類ともすべておいしいと思った。この実験の後、出張した仙台で塩釜のメバチと津軽海峡のクロマグロを同時に食べる機会に恵まれたが、言われなければ差が分かったかどうか。高級ホテルで食品偽装が起きても簡単には見抜けないわけだ。

なお、マグロ業界でいわれる一般的な"正解"は以下のようになる。

クロマグロは最も味が濃厚で、ほのかに残る独特の酸味も特徴だ。メバチは酸味がなく、甘味が強い。クロマグロより日持ちもする。

スーパーでおなじみの冷凍メバチは、「超低温」と呼ばれるマイナス60℃の冷凍設備の普及を背景に1960~70年以降、急激に広がった。インド洋や太平洋、大西洋と世界中で取れるので海域や船ごとの冷凍技術によっても品質にバラツキが出やすい。

赤身の柵に塩 塩マグロは酒のさかなにぴったり

しょうゆとの相性が抜群にいい。上質なものはたっぷりのしょうゆにワサビを添えるのが一番だが、味が薄かったり、ドリップが多かったりする時はほかの食べ方を試してみるのもいい。

魚食普及に努める水産庁の上田勝彦さんのお勧めが「塩マグロ」だ。赤身の柵にまんべんなく塩をふって10分程度寝かせた後、水で洗い流すだけ。ペーパータオルなどで水気を取って、普通の刺し身のようにスライスすれば完成だ。ワサビとの相性は良く、酒のさかなにももってこいだ。

筋の多いマグロの時は、三つ葉とともに炊きあがったご飯にあえる「炊かず飯」もある。ご飯の熱で筋が柔らかくなり、気にならなくなる。興味があれば、インターネットでレシピを検索してみていただきたい。

手ごろな価格で流通量も多いメバチだが、クロマグロなど多くの魚に付きまとう資源減少の懸念と無縁ではない。

日本や台湾の遠洋漁船による刺し身向けの漁以外に、中西部太平洋の赤道付近では缶詰原料となるカツオやキハダを取っている世界各地の巻き網船がメバチの未成魚を混獲していることが問題になっている。近年は資源維持に適切な漁獲量を超えているのが実情だ。12月にオーストラリアで開く国際会議で対策が協議されることになっている。(商品部 吉野浩一郎)

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