地鶏はわずか1% JASに定義、銘柄鶏とは別物

2013/11/26

本日入荷 おいしい話

鍋物が恋しい季節。秋田の代名詞「きりたんぽ」には比内地鶏が欠かせない

寒さが厳しくなり鍋物向けなどに鶏肉の消費量が増える季節になった。ちょっとぜいたくをしたい時に思い浮かぶ鶏肉といえば「地鶏」。地鶏からイメージするのは「昔から日本にいて元気良く動き回っている」といったものだろうか。食品の表示問題に関心が高まるなか、そもそも地鶏と一般の鶏の違いは何なのか。どのようなブランドに人気があるのか。いくつかのデータを調べ、産地にも足を運んでみた。

徳島・兵庫・愛知がトップ3

まず日本で生産される地鶏の割合。農林水産省によると、正確な出荷統計はないが、地鶏の多くが含まれる3カ月以上飼育した「その他の肉用鶏」の出荷数は823万羽(2012年、食鳥流通統計)。1年間に肉用として出荷される鶏が約7億5000万羽だから、比率はわずか1%ほど。成長が早く、生まれてから40~50日で出荷される一般のブロイラーが市場を席巻しているなかで、地鶏がいかに貴重な存在かがわかる。

県別で出荷羽数が最も多いのは徳島県で、「阿波尾鶏(あわおどり)」で有名だ。年間約200万羽を出荷しており、全体の25%を占める。1998年以来1位を守っている。2位には「丹波地どり」など複数の地鶏銘柄を有する兵庫県、3位に「名古屋コーチン」で知られる愛知県が続く。

では地鶏にはどのくらいの種類があるのか。鶏肉生産会社などでつくる日本食鳥協会(東京・千代田)が2011年時点でまとめている「全国地鶏銘柄鶏ガイドブック」が参考になる。県別に分けて、各品種の特長や出荷までの日数、飼育の方法などを解説している。希望すれば一般の人にも無料で配布している(送料は別途必要)。そのなかに掲載されている地鶏の数は66種。10年前には50ほどだったのでじわじわ増えているが、その前の10年間の増え方が2倍だったためペースは鈍っているようだ。

同協会事務局長の高橋照義さんは「グルメブームに乗って増えたが、景気低迷が影響して、最近はほとんど増えていないのでは。様々な部位をうまく売り切るのは結構大変になる」と説明してくれた。一方、地鶏とは別の区分けになっている「銘柄鶏」の数は112ある。

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地鶏には4つの条件 銘柄鶏には厳密な規定なく