イワシは大衆魚か高級魚か 日本近海の水温が左右

現在は「暖かいレジーム」で活力低下 豊漁は続かない可能性も

川崎氏によれば1970年代後半から20年間続いた「冷たいレジーム」は90年代後半に終わり、「暖かいレジーム」へと切り替わった。年間3万トンに満たない2005年のようなどん底期を脱したとはいえ、近年のマイワシ水揚げ量は年間10万トン台。川崎氏は「今年の豊漁もあくまで『暖かいレジーム』の中での波と捉えたほうがいい」と説く。アベノミクスによる株高と騒いでみても、バブル絶頂の80年代後半とは次元が違うという世情と同じだ。

レジーム・シフトはある時、突然やってくる。数十年という周期を考えれば遠からず再びレジーム・シフトが起こっても不思議ではない。だが「冷たいレジーム」の到来がマイワシにとって幸せかといえば、そうとは限らないようだ。

というのも、現在の「暖かいレジーム」は種としてのマイワシ全体にとっては冬の時代でも、個々のマイワシにとっての住み心地は悪くないからだ。「個体数が少ないのでエサの奪い合いがなく成長も早い。『冷たいレジーム』のマイワシより身質が良いことも多い」(川崎氏)という。「冷たいレジーム」のイワシがバブル期のモーレツ社員なら「暖かいレジーム」に生きる魚は「ゆとり世代」。マイワシと日本社会、やはりどこか似ているような……。(商品部 吉野浩一郎)

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