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打倒あまおう イチゴ王国・栃木、17年ぶり大型新人

新品種「スカイベリー」

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NIKKEI STYLE

百貨店やスーパーの青果コーナーを鮮やかに彩るイチゴ。冬は特に出回りが多く、いま店頭には「あまおう」「さがほのか」「紅ほっぺ」「とちおとめ」など多彩なブランドがズラリ並んでいる。

最近、東京周辺の百貨店や高級果実店の売り場で目立つようになったのが、全国一のイチゴ産地・栃木県が開発し、2012年に販売が始まった「スカイベリー」。きれいな円すい形で大ぶりな実が特色で、高級イチゴ市場のニューフェースとして注目が集まる。誕生の舞台裏には年々激しさを増す、産地間のブランド競争があった。

打倒「あまおう」の切り札 栃木県の「スカイベリー」

東京駅から特急など電車を乗り継いで2時間近く。栃木県栃木市。田畑やビニールハウスが並ぶ田園地帯を進んでいくと、真っ赤な屋根の建物が建っている。看板には「栃木県農業試験場いちご研究所」。日本で唯一、イチゴ専門の公設研究機関だ。スカイベリーはここで生まれた。

「まだ食べたことがありませんか? それなら、まずは食べてみてください」

所長の深沢郁男さんが取れたての大ぶりなスカイベリーを勧めてくれた。手に取るとずっしり重い。1個あたりの重量は26~27グラムと、一般的なイチゴの2倍近いサイズだ。かぶりつくと甘い香りが口いっぱいに広がり、果汁がじんわりあふれ出す。爽やかな酸味も感じられ、大粒なのに大味な印象は全くない。粒が大きいこともあり、数粒食べると満足感が広がる。

栃木のイチゴで知名度が高いのはスカイベリーより一回り小さい「とちおとめ」。販売シェアが約3割と国内トップで、スーパーなど量販店の定番商品だ。安定した売り上げを誇るとちおとめを擁し、「いちご王国」を自任する栃木県があえて新ブランドを投入した背景には強力なライバルの台頭がある。福岡県の人気ブランド「あまおう」だ。

とちおとめは見た目の豪華さであまおうに見劣りし、百貨店や高級果物店などが扱う高級イチゴの市場で栃木産の存在感が低下していた。そこで6年の開発期間を費やし、開発したのがスカイベリーだ。

10万株から生まれた超エリート 「とちおとめ」以来17年ぶりのエース級

新品種を作り出すのに6年もかかるのか――。開発者の苦労に思いをはせると、深沢さんは「むしろスカイベリーは短期間で開発できた方です。最初から優秀な品種だったのでいわば飛び級ですね」。

新品種を研究・栽培しているビニールハウスに案内してもらった。

畑いっぱいに様々な形や大きさのイチゴが揺れている。毎年植え付ける新品種の候補はおよそ1万株。実がなったら研究員が見た目や味をチェックし、有望な品種を選抜する。優秀な品種を掛け合わせても、両親の長所だけを受け継ぐとは限らない。実際に育ててみなければ、品種の特徴は分からない。

厳しいチェックを経て、2年目以降の継続栽培に移れるのはわずか3%程度だという。その後5年間かけて最も優秀な品種を選び出し、商品として有望だと認められれば品種登録を申請する。

品種登録が認められても、市場で広く流通するとは限らない。とちおとめが開発されたのは1994年。その後も新品種はいくつも誕生したが、市場に広く出荷するイチゴとしては2011年開発のスカイベリーが17年ぶりの新顔だ。

ちなみにスカイベリーの正式な品種名は「栃木i27号」で、先輩のとちおとめは「15号」。17年の歳月が流れる間に「とちひとみ」「なつおとめ」など12の新品種が誕生したのだが、いずれも第2のとちおとめにはならなかった。

スカイベリーは延べ10万株のなかから選ばれたという超エリート。「見た目はきれいだし、あまおうにも負けないでしょ」。深沢さんの「娘自慢」に力がこもる。

「いばらキッス」「古都華」「おいCベリー」…… イチゴ戦国時代

あまおうなどの成功を受け、全国の産地がイチゴの品種改良に一段と力を入れるようになった。つややかな色合いと濃厚な味わいが持ち味の「いばらキッス」(茨城県)、桃やメロンとほぼ同じ糖度を持つ「古都華」(奈良県)、ビタミンCが豊富な「おいCベリー」(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構)など個性も様々だ。

新たなライバルが続々登場するなか、「王国」栃木は次の一手をどう打つか。「多様化する需要に対応するということに尽きます」。

2000年代は甘くて大きいイチゴを開発するのがトレンドだったが、高齢者は酸味が強い品種を好む傾向もあるという。厳しい産地間競争を勝ち抜き、シェアを高めるには消費者のトレンドを見極める必要がある。気が遠くなるような交配と選抜の連続。甘い「果実」を手に入れる道のりは、決して甘くない。(商品部 下村恭輝)

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