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タマゴを食べてもコレステロールは上がらない?

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NIKKEI STYLE

春に受けた健康診断の結果が届き、職場が騒がしくなるのがこの季節の風物詩になっている。「うわ、ウエストがメタボ基準を超えた!」「肝臓に異常ありって飲みすぎってことだよね」「心電図で引っ掛かった? それ、本当にまずいんじゃない?」などなど。大半が嘆き節である。

日本は世界2位のタマゴ消費大国

いろいろある数値の中でも気にする人が多いのが動脈硬化につながるコレステロールだろう。筆者もちょくちょく医務室に呼ばれる。医師とのやり取りの定番はこんな感じだ。

「コレステロールが高いですねぇ。運動はしていますか」「ええまあ。休みの日にジョギングしたり、ゴルフに行ったりする程度ですけど」「太りすぎというわけでもなさそうだから体質の問題かなあ。ま、タマゴはあんまり食べないようにね」「分かりました……(極力控えているんですけど)」。とりあえずやり玉に挙がるのは決まってタマゴだ。

ところが――。この春に鶏卵業界を取材するようになってから、「タマゴを食べてもコレステロール値は上がらない」という主張を何度も耳にした。

タマゴは割安にタンパク質を摂取できる
 鶏 卵 牛 肉
 ロース
 豚 肉
 ロース
 鶏 肉 豆 腐
100gあたりタンパク質12.3g12.7g18.3g16.2g6.6g
100gあたり価格37円769円243円129円27円
タンパク質1gあたり価格3円60.6円13.3円8円4.1円

(注)タマゴ科学研究会シンポジウム発表資料より

日本は人口に近い大量の鶏を飼い、1人当たり平均で年間300個以上のタマゴを食べるという世界2位のタマゴ消費大国だ(ちなみに1位はメキシコで少し意外)。

小売価格の変動が少ないことから「価格の優等生」と呼ばれるタマゴ。牛ロースの20分の1、鶏肉の半分以下、豆腐よりも1円安いという1グラム3円で良質なタンパク質が取れる。

米農務省基準では1個半で1日分のコレステロール

コレステロールが本当に上がらないのならおいしくてコストパフォーマンス抜群のタマゴを心置きなく食べられるというわけだが、にわかには信じがたい。タマゴを売らんがための業界のプロパガンダ(宣伝)ではないのか? というわけで専門家に聞いてみた。

タマゴがコレステロールの高い食材であることは間違いない。50~60グラムサイズ1個が含むコレステロールは200~240ミリグラム。

厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準では、健康な成人が1日に摂取して問題のないコレステロールは男性が750ミリグラム未満、女性が600ミリグラム未満だ。しかしこの基準は世界でもトップクラスに甘く、十分な根拠も得られていないことから来年の改訂版では削除されるという。

ちなみに米国農務省の基準では、健康な人は1日300ミリグラム以下が望ましいというから、タマゴ1個でかなりの分量を取ってしまうことになる。

ところがタマゴを食べるとコレステロール値が上がるのかというと、そう単純ではない。

世界各地の実験、1日1~2個1~2カ月続けても影響なし

『健康と脂質摂取』などの著書がある九州大学・熊本県立大学の菅野道広名誉教授は「世界各地の実験では、1日1~2個のタマゴを1~2カ月食べ続けてもコレステロールには影響がないという結果が出ている」と話す。どうしてなのか。

実は体内のコレステロールのうち、食事から摂取しているのは一部にすぎず、8割程度は肝臓など体内で作り出しているのだという。問答無用で悪役と見なされやすいコレステロールだが、細胞膜を構成するほか、脂肪の吸収に必要な胆汁酸や性ホルモンの原料となり、体には欠かせない成分だ。

体内のコレステロールを一定の値に保つように肝臓は生成量を調節するので、食材での摂取量が多いと肝臓の生成量が減ってバランスが保たれる。逆にいうと「タマゴを減らしても肝臓が多くつくることになるのですぐに値が減るというわけではない」(菅野名誉教授)。

吸収度合いに個人差、日本人は3割が上がりやすく

タマゴが即座にコレステロールの上昇を招くという誤解は100年前の実験から生まれた。ロシアの研究者がウサギにコレステロールを食べさせたところ、動脈硬化が起きた。

これをもって「コレステロールが高いタマゴ=動脈硬化の原因」の図式が広まったわけだが、そもそもウサギは草食動物。動物性脂質であるコレステロールの体内調整機能がないので、人間とはまるで違う結果になる。

だから人間はタマゴを好きなだけ食べていい、とは残念ながらならない。

一般的な人は1日1~2個のタマゴでコレステロールが上がることはないのだが、食材からの吸収度合いには個人差がある。食生活をみると明らかに高そうなのに、数値の低い人がいるのはそのためだ。

「日本人の場合、3割程度の人は上がりやすい」(菅野名誉教授)。それが遺伝によるものなのか、肝臓機能の不調によるものなのか、体内の"初期設定"が違うのか、詳しいことは分かっていないようだ。

未解明な部分が多く、「少し控えめ」が賢明

正常な人や疾患を持つ人が1日に何個まで食べていいのかも判然としない。

正常な人に1日2~3個ずつ1カ月ほど食べ続ける実験ならばやりやすいが、既にコレステロールが高い人に大量のタマゴを毎日食べ続けてもらう実験は難しい。データがそろっていないのが実情のようだ。

血中コレステロールの数値にしても、最近では総コレステロール値よりも、コレステロールを体内に運ぶ「悪玉」と、回収を担う「善玉」の比率が大事だとする説も有力で、いずれにしても未解明の部分は多い。

つまり、現時点での結論は次のような感じだ。

1日1~2個のタマゴであれば多くの人には影響しない。タマゴには脳の機能を高める「コリン」や目に良い「ルテイン」などの栄養素や良質なタンパク質を含み、摂取を控えすぎるとプラスよりもマイナスの方が大きくなってしまう可能性がある。必要以上に怖がる必要はないが、既にコレステロールが高い人は吸収しやすい体質の可能性があるので、やはり少し控えめにした方が良い。

医務室に呼び出されてようが、好きなだけタマゴを食べていい。そんな「おいしい話」は、やはり簡単にはないのである。(吉野浩一郎)

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