2013/12/14

生きものがたり

二股の枝にあったメジロ古巣。ひなが巣立った後に使われることはない

多くの小鳥と同じように春夏は虫を主食とし、秋冬は木の実も食べるようになるが、メジロは花の蜜も好物。サザンカが散り、ヤブツバキが咲くまでの間、街ではカンツバキが咲いている。人為的に作られたカンツバキがそこかしこに植えられるようになった頃からメジロが増えてきたように思う。

ちなみに、メジロはよく「花の蜜を吸う」と言われるが、実は鳥は「吸う」ことができない。吸い込むという能力は哺乳類に発達したもので、メジロはブラシのような舌先で絡めた蜜を口の中に運んでいる。

冬はバードウォッチングに最適

かつてのヒヨドリ、今もウグイスがそうであるように、東京の都市部ではメジロは秋冬の鳥だった。今日は秋冬に増えただけでなく、春夏の繁殖も珍しくない。葉が散る頃は、野鳥の姿とともに、古巣も目に着くようになる。メジロのものは小さいカップ型で、二股の枝にハンモックのように下げることから簡単にそれとわかる。

これから寒くなるが、鳥も、暮らしの痕跡も見やすいという点で、バードウオッチングを始めるにはよいシーズンといえる。この時期は初心者向けの行事もよく企画される。日本野鳥の会のホームページでは各地の探鳥会も紹介している(http://www.wbsj.org/shibu/tancho/)ので、参照されてはいかがだろうか。

(日本野鳥の会主席研究員 安西英明)

安西英明(あんざい・ひであき) 1956年生まれ。日本野鳥の会が81年、日本初のバードサンクチュアリに指定したウトナイ湖(北海道苫小牧市)にチーフレンジャーとして赴任。野鳥や環境教育をテーマとした講演で全国各地を巡る。著書に「スズメの少子化 カラスのいじめ」など

※「生きものがたり」では日本経済新聞土曜夕刊の連載「野のしらべ」(社会面)と連動し、様々な生きものの四季折々の表情や人の暮らしとのかかわりを紹介します。

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