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1年に食べる虫は12万5千匹 大食漢のシジュウカラ

2014/3/8

シジュウカラの雄は胸から腹にかけてネクタイ模様が太い=写真 石田光史

 春は行きつ戻りつ、思わせぶりだ。今しばらくは序章が続くだろうが、一喜一憂が繰り返されてこそ、新芽が顔を出した時、花が開いた時、チョウが舞った時の喜びは格別なものとなる。すでに始まっているシジュウカラのさえずりは寒さが戻るといったん止む。それでもまた歌い出す度に、季節が春に向かっていることを実感できる。

 スズメが見分けられるようになると、いろいろな野鳥に気づく。ヒバリやホオジロなどスズメと思って見過ごされている小鳥は多いが、シジュウカラはわかりやすいはず。スズメほど人を恐れないので、双眼鏡がなくても白い頬と黒いネクタイ模様が確認できるし、スズメがいない山や林にもいる。

■地鳴きは何十通りも

 シジュウカラの地鳴き(雌雄や季節を問わない鳴き方)は何十通りもあるが、さえずり(雄の繁殖期だけの鳴き方)は単純でわかりやすい。とは言え、基本形である2音「ツーピー」のほか、3音「ツツピ」、時に4音「ツツピピ」を繰り返すこともある。年明けに始まるさえずりは2音を2、3回繰り返すだけのことが多いが、春本番に向けてそろそろ繰り返しが増え、微妙ながらバリエーションも増えてくる。

巣穴探しは早春に始まる。探して勧めるのは雄だが、そこを巣とするかの決定権は雌にあるようだ=写真 石田光史

 さえずりには「雌を呼ぶ」「縄張りを宣言する」という2つの意味があるとされ、近年、バリエーションが多い雄ほどもてるとか、縄張り防衛にたけているという研究結果が報告されるようになった。

 シジュウカラなど虫を主食とする多くの小鳥の体重は僅か15グラム前後。それでもたくさんの虫を食べる。シジュウカラ1羽が1年間に食べる虫の量をガの幼虫に換算すると、12万5千匹になるという古いドイツでの研究は、しばしば森林における鳥類の役割を知る教材とされてきた。

 食べられる側の虫では、日本での研究がよく紹介される。アメリカシロヒトリというガの4287個の卵から、幼虫、さなぎを経て成虫になれたのは僅か7匹だったそうだ。

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