WOMAN SMART

朝・夕刊の「W」

韓国企業も豹変 女性を積極登用(Wの未来)

2014/6/28

世界では働く女性(Woman)が潜在能力を発揮しやすい環境づくりが進んでいる。

■日本置き去りに

家父長制的な儒教文化圏で、日本と同様に女性の活躍が遅れている韓国の企業が豹変(ひょうへん)しつつある。

韓国通信大手KTは女性登用に積極的なことでも知られる(ソウル市内のオフィス)

「社内保育施設に1歳の子供を預けているから働き続けられる」。韓国通信大手KTでキム・ユファ(36)は人材支援チームのマネジャーを務める。KTは大卒採用の約43%が女性。社内保育施設は8カ所あり、勤務時間の選択制も導入した。この5年で女性役員は7人から29人、女性管理職の人数も約5倍になった。

「2006年に政府が導入した『積極的雇用改善措置制度』が企業を動かした」と韓国女性政策研究院の院長、チェ・クムスクは指摘する。大企業などに女性の従業員や管理職の割合を報告するよう義務づけ、割合が低ければ改善を求め、高ければ公共事業の入札や公的融資で優遇する。対象企業の女性管理職の比率は06年10.2%から13年17%に上昇し、13年11.2%の日本を置き去りにした。

多様性の実現は企業の創造性と生産性を高め、経済成長につながるというのは世界の共通認識だ。日本は20年までに指導的立場の女性の割合を30%にする政府目標を掲げるが、歩みは遅い。成長を競う世界の国々はさらに加速している。

「一定比率の女性登用を義務づけるクオータ制の導入は企業文化に変革を起こした」。ノルウェーの企業多様性センター代表、マリット・ホエルは振り返る。

■未達成なら閉鎖

03年にノルウェー国会は世界で初めて大企業に女性役員比率40%を義務づける法案を可決した。未達成の企業は強制的に閉鎖する。「経済が壊れる」と経済界は猛反発したが、2年後に施行。女性の社会進出が進んでいたため混乱は起きず、全上場企業が達成した。

女性役員が増えると多様な意見が集まり、取締役会は活性化する。クオータ制の導入は欧州諸国が追従し、強制措置に反対する国も消極的なわけではない。

英国政府は11年、大企業の女性役員比率を15年までに25%とする目標を打ち出した。自主的な取り組みを促し、対象企業で女性役員が1人もいないのは資源大手グレンコア1社のみ。政府や株主の圧力を受けた同社の会長、トニー・ヘイワードは5月、株主ミーティングで「年末までには女性役員を見つける。当社が多様な価値を大切にしている印だ」と釈明した。

数字の独り歩きを懸念しクオータ制に反対するオーストラリアの経済団体「ビジネス・カウンシル・オーストラリア」も加盟企業に女性役員比率50%の目標達成を呼びかけている。代表のジェニファー・ウエスタコットは「採用や教育、登用などあらゆる段階で見直さないと多様性は実現しない」と強調する。

日本の女性役員比率は1%台。少子高齢化が進むなか、女性の背中を押し、能力を発揮できる環境をどうつくるか。マリットは指摘する。「手段はそれぞれの国が考えればいい。手遅れになる前にとにかく『Just do it』だ」。日本も動かなければ、世界に取り残される。=敬称略

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