落ちていく視力、だからこそ「裸眼」を鍛えたいピンボケおやじ記者が行く

東京・高田馬場の日本点字図書館1階では視覚障害者向けのさまざまなグッズを販売している。障害者だけではなく、目が悪くなったお年寄りの客の姿も目立つ。

いろいろなものがある。文房具、杖(つえ)、音響機器、スポーツ用品、おもちゃやゲーム、日用品各種、調理用具……。表示が大きいラジオや音声で時刻を知らせる時計がほしくなった。文書読み上げ装置、拡大読書器などのほか、点字の書籍や絵本もそろい、通信販売でも買える。

文字拡大ソフトを体験、「仕事がはかどるぞ」

黒いノートとホワイトのペンを使うと文字がぐっと読みやすくなる

私が買ったのはノートとペン。埼玉県所沢市の国立障害者リハビリテーションセンター(国リハ)でいただいた黒い紙のノートと白い水性ペンがとても便利なので買いだめした。白いノートと黒いペンよりずっと読みやすい。つまり白黒反転だ。

国リハで使ってみたスタンプルーペも「これはいい」と思った。弱視対応の製品を豊富に置いている東京・四谷の眼鏡店で買い求めた。新聞や資料の上に置くと字が大きく見え、光を集めるような感じで明るいから、いまや仕事の必需品。読書にも役立つ。こういう便利な支援グッズを点字図書館は「わくわく用品」と名付けている。

点字図書館を訪ねた目的はほかにもあった。会社のパソコンの文字を拡大するソフトを試したかった。職員が「近くにいい会社がありますよ」と案内してくれた。視覚障害者用システム販売・サポートの「ラビット」だ。ソフトをパソコンにセットしてもらって体験した。

「あっ、字がでかい!!」。それもそのはず、文字は最大36倍になる。あんまり拡大すると液晶の文字が粗くなる。会社で使っている文字の2倍ぐらいにすると、ちょうどいい。「仕事がはかどるぞ」と思った。画面は白黒反転ができるし、打ち間違え防止のナレーション機能も付いている。会社の許諾を得て搭載しようと決めた。

落ち込まず、前向きに病気に立ち向かおう

半球型のルーペを置くと字が大きく見える上、明るい。新聞も読みやすい

何よりうれしいのが有料で初期化してくれるうえに、使い方の講習もあること。常軌を逸した機械アレルギーの私にはありがたい。いろんなトラブル続きでせっかく買った電子書籍のタブレット「キンドル」はいまだに稼働していない。キンドルのせいではなくて、私に原因がある。

さて、この連載も最終回。はじめの目論見(もくろみ)では、定年後の楽しみのことを書くつもりだった。ところが、目の病気にまつわることにずいぶん行数を費やしてしまった。だんだん視野が狭くなり、視力も落ちる網膜色素変性症が予想以上に進んでいて、定年後に充実した生活を送るためには病気とうまく付き合い、知恵と工夫で不便を軽くしなければならないと改めて自覚した。落ち込まずに前向きに病気に立ち向かう必要もある。だから、そういう話が多くなった。

取材を通して日本網膜色素変性症協会(JRPS)の人たちと知り合い、親切な助言をいただいた。国リハの先生やスタッフの方々に診察やコンサルティングを通じて助言、激励を頂戴した。これからも長く付き合い、私でも役立てることがあれば貢献したい。