ライフコラム

生きものがたり

激減するゲンゴロウ 深刻な外来種による被害

2013/11/30

ゲンゴロウはほとんどの日本人が名前くらいは知っている水生昆虫だ。夜行性だが、晩秋になると日中でも水面を泳ぐ姿をしばしば見かける。時に、呼吸のため水面に上がってくるその姿は、眺めていて飽きない。

■日本には130種類以上

日本での最大種であるゲンゴロウ=写真 永幡嘉之

図鑑などでおなじみの「ゲンゴロウ」という種類は日本のこの仲間では最大だ。同好者はこの仲間の総称と区別して「タダゲンゴロウ」あるいは「ナミゲンゴロウ」と呼ぶ。近年、分かりやすいようにと専門誌で「オオゲンゴロウ」と書く向きもあったが、やはり長年使われてきた「ゲンゴロウ」の方になじみがあるためか、定着していない。

日本にいるゲンゴロウの仲間は130種類以上。最大の種類に最も標準的な名前がついている上に、大半の種類は地味で非常に小さい。必然的に、コガタノゲンゴロウ、ヒメゲンゴロウ、マメゲンゴロウ、クロマメゲンゴロウ、ケシゲンゴロウ、ツブゲンゴロウ、コツブゲンゴロウ、チビゲンゴロウなど、名前には小ささを形容する言葉が次々と並ぶ。

ツブ、マメ、ケシなどという言葉は直接的な形容詞以上に小ささを的確に表しており、改めて日本語の表現の豊かさを思う。ちなみに大きさはマメゲンゴロウで7ミリ、ケシゲンゴロウで5ミリ、ツブゲンゴロウで4ミリ、そしてチビゲンゴロウで2ミリ。また、マメゲンゴロウ、ツブゲンゴロウにもそれぞれいくつもの種類があり、ヒメゲンゴロウの仲間の中でわずかに大きな種類には「オオヒメゲンゴロウ」という、大きいのか小さいのかよくわからない名前が与えられている。

小型だが斑紋の美しいオオイチモンジシマゲンゴロウ=写真 永幡嘉之

ゲンゴロウは日本各地で身近だったはずだが、現在では若者の大半は目にしたことがない幻の虫になってしまった。都市近郊で絶滅して久しいし、自然環境が比較的良好に見える東北地方でさえ、すでに生息地は数えられるほどしか残っていない。

減少した原因として、一般的に農薬の使用などによる水質汚染、ため池や水路の改修などの環境改変が挙げられることも多い。もちろんそれらはゲンゴロウを多くの地域から追いやったが、それだけではここまで激減しなかった。

■外来種による被害で激減

近年、より深刻になっているのは、外来種による被害だ。ブラックバス、ブルーギル、アメリカザリガニ、ウシガエルのどれかひとつでも侵入した池では、大型のゲンゴロウ類が日本各地で例外なく姿を消したという事実があるし、アメリカザリガニは水草まで消滅させる。

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