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ライフコラム
生きものがたり

2014/8/2

生きものがたり

ウミネコの幼鳥。体は褐色で、くちばしや足も黄色くない=写真 石田光史

カモメ類は沖に少ないことも覚えておくとよい。外洋にはさらに翼が細長いアホウドリやミズナギドリの仲間が多く、陸が近いほどカモメ類が多くなる。船の旅でカモメが増えたら、陸が近いということだ。

成鳥になるまでに数年 若鳥は濃い褐色

秋以降はさまざまなカモメが冬越しに飛来するが、ある人が冬に港で撮影したカモメはウミネコばかりだったと言う。見せてもらうと、ウミネコは一羽もいない。彼は「どれも尾が黒いのでウミネコだ」と言い張るが、翼の先を尾と勘違いしていた。

カモメたちの長い翼はたたまれるとその先が尾の上に位置する。成鳥の写真で確認いただくとよいが、黒く細く突き出した翼の先の下に、短い尾が見える。翼の先は黒いものが多いので、静止時のウミネコを見分けるには、その下の白い尾に黒が見えるか否かポイントになる。

もう一点、ウミネコで注意すべきは若鳥の存在だ。1年で成鳥となる鳥類が多い中で、ウミネコ以上の大きなカモメは成鳥になるまで数年を要す。ウミネコも1年目は濃い褐色の羽毛をまとっていて、少しずつ変わって行くので、色が濃いほど若いことになる。

大きなカモメ類は雑食性ゆえ、増えすぎるとギャングになる。日本のごみで増えたとしても、日本では繁殖しないので悪さを目にすることはないが、繁殖地では海鳥のひなをよく食べている。

周囲を海に囲まれ、海の幸に恵まれている私たちは海洋生態系の保全も考えなくてはならないと思う。日本で繁殖する海鳥38種の半数以上が環境省のレッドリストに挙げられていることも知っておきたい。

(日本野鳥の会主席研究員 安西英明)

安西英明(あんざい・ひであき) 1956年生まれ。日本野鳥の会が81年、日本初のバードサンクチュアリに指定したウトナイ湖(北海道苫小牧市)にチーフレンジャーとして赴任。野鳥や環境教育をテーマとした講演で全国各地を巡る。著書に「スズメの少子化 カラスのいじめ」など

※「生きものがたり」では日本経済新聞土曜夕刊の連載「野のしらべ」(社会面)と連動し、様々な生きものの四季折々の表情や人の暮らしとのかかわりを紹介します。

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