鳥の世界で冬はいつから ジョウビタキの越冬

2013/11/2

生きものがたり

「お父さん、いつまで秋なの?」と娘に聞かれ、返答に困った。秋は日一日と深まり、冬へと向かう。人の世は師走を迎えれば冬だろうが、鳥たちの世界ではどこからを冬と呼ぶべきだろうか。

カモの雄が派手になったら…

翼の白い斑は雌も共通していて、「紋付鳥」との古い呼び名は分かりやすい=写真 石田光史

冬鳥のカモたちは秋の飛来後、冬の結婚シーズンを前に雄が派手な衣装をまとう。マガモの雄は早い時期に雌と間違いようがない美しい姿に変わるものの、コガモやオナガガモの場合、今しばらくは半分雌のような衣替え途中の雄も見られる。カモの雄がみな派手になり、求愛が始まったら冬といえるのかもしれない。

冬鳥の中には、スズメサイズの小鳥もいる。10~11月に渡ってくるジョウビタキは積雪が少ない地域なら住宅地でも見られ、雄は身近な鳥の中で最も美しいともいわれる。

ジョウビタキのジョウは「尉」と書く。老人のことで、雄の銀白色の頭を白髪に見立てたらしい。胸からお腹はだいだい色、顔と背は黒く、翼には白い斑紋が目立つ。全身がほぼ淡い褐色の雌もお尻の部分はだいだい色で、雌の方がかわいいだの、色っぽいだのと言うファンもいる。

ジョウビタキの雄。美しい色彩をしているが、スズメサイズなので気づかない人が多い =写真 石田光史

ただ、もったいないことに、ジョウビタキが庭に来ても気づかない方が多い。野鳥の多くはこちらが先に気づかない限り、飛んで逃げ、距離を置く。近くで、よい光線状態でなければ色はわからないし、身近にいるスズメサイズの小鳥をよく観察する人は少ない。

「スズメでないこと」が第一歩

以前、本コラムでスズメの見分け方を「くちばしは太め」「耳の穴を覆う羽毛が黒い」などと記したが、ジョウビタキも含めていろいろな野鳥に気づくには、色や模様以外で「スズメでないこと」をわかるのが最初の一歩だ。

ジョウビタキは「群れずに1羽でいる」「くちばしが細く、姿勢が縦」「ちょこんとお辞儀してから尾を震わす動作」などがスズメと違う。そして何と言っても声だ。空気が冷たくなる頃に聞こえてくる「ヒッ、ヒッ」という澄んだ声で、冬が近いと感じる方もいることだろう。

「ヒヨ、ヒーヨ」とやや伸ばすことが多いヒヨドリと違い、一声ずつを区切って鳴く。人家のアンテナの上など近い場合は「ヒッ、ヒッ」の間に「カッカッ」という声も交じって聞こえるのも特徴だ。

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群れずに過ごすジョウビタキ