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ライフコラム
生きものがたり

2013/12/28

生きものがたり

第一次南極観測隊も三毛猫のオス「タケシ」を連れて行った=国立極地研究所提供

では、なぜ三毛雄が出現するのだろうか。性染色体が減数分裂する際、X染色体を2本持つ異常な卵XXが出現し、Y染色体を持つ精子と受精する場合か、XY染色体を持つ異常な精子がX染色体を持つ卵と受精した場合で、XXY染色体を持つ個体が生まれた時である。XXY染色体のXX中に毛色を決めるOoの組み合わせがあれば、希少な三毛雄が出現するのだ。

去勢手術した三毛雄は中性?

ところが、この希少性に水をさすような介入が現代の獣医療では行われる。三毛雄は発情も来るし、尿マーキングもする。たまりかねた飼い主は動物病院に去勢の手術を求める。去勢した雄は英語でneuter(中性)とも表記する。このややこしい状態が「三毛猫の雄」の定義のままであるか否かは、遺伝学や獣医学の問題ではなく性を巡る文化的な議論となる。

(帝京科学大学教授・獣医師 桜井富士朗)

桜井富士朗(さくらい・ふじろう) 1951年生まれ。専門は臨床獣医学、動物看護学。77年、桜井動物病院(東京・江戸川)開設。臨床獣医師としてペットの診療、看護にあたるとともに、大学で人材育成を手掛ける。2008年より現職。共著に「ペットと暮らす行動学と関係学」、監著に「動物看護学・総論」など。日本動物看護学会理事長。

※「生きものがたり」では日本経済新聞土曜夕刊の連載「野のしらべ」(社会面)と連動し、様々な生きものの四季折々の表情や人の暮らしとのかかわりを紹介します。

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