ライフコラム

生きものがたり

人の胸打つ ハチ公の無垢な忠実さ

2014/3/22

忠犬ハチ公の銅像(東京都渋谷区)

3月8日は忠犬ハチ公の命日であった。ハチは1923(大正12)年に秋田県二井田村(現・大館市)で生まれた秋田犬で、翌年から東京帝国大(現・東京大)教授の上野英三郎氏に飼育された。25(大正14)年、上野氏の急逝により飼い主が転変するも、亡き主人を渋谷駅で待ち続ける生涯を送り、生前より忠犬と呼ばれ、35(昭和10)年に渋谷駅周辺で11歳で死亡した。

死後すぐに東京帝大獣医学科病理細菌学教室で解剖され、心臓右心室内に多数の犬糸状虫(イヌフィラリア=蚊が媒介するソウメン状の寄生虫)が寄生し、腹水症も見られたので、慢性犬糸状虫症が死亡原因とされた。近年、保管されている病理標本の再検査により、肺と心臓の悪性腫瘍(がん肉腫)も認められたので、死因の一つに加えられている。

■「忠犬度」には疑問の声も

渋谷駅前のシンボルとしての高名のかたわら、直接の死亡原因ではないが、剖検時に胃内から竹串が4本見つかったことなどから、駅前に餌をあさりにきていただけなどの説もあり、忠犬ハチ公の「忠犬度」には疑問の声もある。

火事場で野次馬を追い払った北海道小樽市の消防犬ぶん公=小樽市消防本部提供

盲導犬や聴導犬のように、飼い主の目や耳など身体の一部となってくれる介助犬の活動を目にすれば、ハチはそれらしいことをしていない。北海道小樽市の運河沿いで火事場に千回も出動してやじ馬を整理し、ハチ公と同じく銅像になっている消防犬ぶん公の活躍や、アラスカの町ノームから猛吹雪の中、子供たちのために千キロ離れた町までジフテリア血清を取りに行った時の犬ぞり犬のリーダー、バルトなら忠犬度に疑問の余地もないだろう。

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