ライフコラム

生きものがたり

「生きている化石」ラブカ 妊娠期間は3年半

2013/12/21

ラブカは一般になじみのない魚のうえ、名前には、ゴジラやモスラなど昭和時代の怪獣を思わせる怪しげな雰囲気がある。成長すると2メートル近くになり、水深450メートルもの深さにまですむ深海のサメだ。

■3億6千年前の古代サメに類似

ラブカは「生きている化石」とも呼ばれる=東海大学海洋科学博物館提供

体は細長いウナギ形。サメの口はふつう、頭の先端より後ろに開いているが、ラブカの口は頭の先端にあって大きく開くことができる。エラ孔の数はほとんどのサメで左右に5対なのに対し、ラブカは6対。赤いエラがはみ出して外から見えるのも、ふつうのサメとは違う。上下のアゴに並ぶ歯は根元から3本に分かれて鋭いトゲになっていて、ちょうど人が手指を3本立てたような格好に広がっている。

体形、口の位置、単純な歯の形などが今から3億6千年前(古生代デボン期後期)に栄えた古代サメのクラドセラキに似ており、「生きている化石」とも呼ばれる。

イギリス、南アフリカ、ニュージーランド、アメリカ、チリなど世界各地の深海で発見されているが、日本での記録が断然多い。特に、駿河湾と相模湾はラブカがたくさんとれることで知られている。

少し前の話だが、1984~88年の5年間、駿河湾でラブカの生態調査をしたことがある。食用にならないラブカを対象とした漁があるわけではないし、たまに網にかかっても鋭い歯が危険なので、漁師さんはいやがってすぐに海に捨ててしまう。そんなこんなで、ラブカを集めるのは案外、難しいことがわかった。

列をなして並ぶ歯の先が3本に分かれている=東海大学海洋科学博物館提供

そこで、地元の漁業組合に特別に頼んで、ラブカが網にかかったら捨てずに港まで持ってきてもらうようにお願いした。連絡が来たら必ず引き取りに行くようにした結果、5年間で242尾が手に入った。年間約50尾もが駿河湾内でとれたことになる。

引き取りに行った時点で、ラブカはすでに死んでいる場合が多かったが、たまに元気な生きた個体が手に入ったときは東海大学海洋科学博物館に持ち帰り、水族館での飼育に挑戦した。

■水族館で長生きは難しい

生きて水族館に到着したのは70尾。その大半は4日後までに死んでしまい、5日以上生きたのは10尾、最高飼育日数は7日間でしかなかった。水族館に運んだときは正常な姿勢で泳いでいても、やがて横腹を上にして水面に浮かぶようになり死んでしまうのだ。生きているときのラブカは目がエメラルドグリーンに光る魅力的な魚だ。なんとか長生きさせて、多くの人にお見せしたい。

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