ライフコラム

生きものがたり

ヒナは拾わないで カラスの親子に気づこう

2013/6/15

子育てが終わる夏には鼻の穴が見える (ハシブトガラス)

カラス科の鳥は鼻の穴が見えないという共通点がある。鳥は上くちばしに鼻孔という穴が開いているが、カラス科は毛のような細い羽毛が穴を覆って見えない。ただし鳥は子育てを終えると羽が抜けかわる。夏の終わり頃、鼻孔が見える一時期があることを最近、発見した。

■ヒナは拾わないで

冒頭、この時期に出会う野鳥の多くは親か子と書いたが、野鳥の繁殖成功率は高くない。繁殖が失敗する要因は悪天候や食物不足、天敵、環境変化などさまざまだ。若さが影響することもあるかもしれない。繁殖経験のない鳥同士でペアになった場合などは、うまくいく方が少ないのではないだろうか。

巣立ちの失敗も多く、飛べずに落ちる子もいる。親を追いかけているうちに飛べるようになるはずだが、その前に人に見つかり、迷子と勘違いされて拾われてしまうこともある。それは僅かな親子期間を奪うことになる。たくさんの虫を与え続け、危険や食物を学習させて野外に復帰させることはとても難しい。

野鳥は許可なく飼えないし、知識や経験がない限り、手を出さない方がよい場合が多い。日本野鳥の会は「ヒナを拾わないでキャンペーン」を展開中だ。講座のほか、絵本・紙芝居を通じて啓発している。ホームページ(http://www.wbsj.org)を参照していただければ幸いである。

(日本野鳥の会主席研究員  安西英明)

安西英明(あんざい・ひであき) 1956年生まれ。日本野鳥の会が81年、日本初のバードサンクチュアリに指定したウトナイ湖(北海道苫小牧市)にチーフレンジャーとして赴任。野鳥や環境教育をテーマとした講演で全国各地を巡る。著書に「スズメの少子化 カラスのいじめ」など

※「生きものがたり」では日本経済新聞土曜夕刊の連載「野のしらべ」(社会面)と連動し、様々な生きものの四季折々の表情や人の暮らしとのかかわりを紹介します。

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