優雅な姿で人気のミノカサゴ 背びれの毒針は強烈

胸びれをひろげて優雅な姿のミノカサゴ

ミノカサゴは胸びれを広げてふわりと浮かぶ姿が優雅で、ダイバーの目をひきつける魅力的な魚だ。動きが緩やかなので、カメラの被写体としても都合がいい。しかし背びれのトゲに強烈な毒があり、注意が必要だ。最近のガイドブックには、追い詰めると背びれを立てて向かってくることがあるので注意するようにと書かれている。ミノカサゴは自分が毒針の武器を持っていることを自覚しているのだろう。

今が繁殖シーズン オス同士が毒針で争いも

ミノカサゴの毒は高分子のたんぱく質で、熱を加えると変質する。刺された時はやけどをしないぎりぎりの熱いお湯に30~90分つけると効果があるという。玉子をゆでると、白身が固まってくる。つまり、そのイメージで毒を変質させるのだ。

夜行性の魚で、昼間は決まった場所で休む傾向が強く、日没ころに餌を探しに出てきて単独行動する。小魚を見つけると胸びれを広げて追い詰め、ある程度接近したら一気に口を開けて素早く飲み込む。

ミノカサゴの仲間は太平洋からインド洋の熱帯を中心に分布し、日本周辺には10種余りが知られている。繁殖はオス・メス1尾ずつのペア産卵で、今がそのシーズンに当たる。

キリンミノ(東海大学海洋科学博物館提供)

この仲間で、やや小形のキリンミノの繁殖行動が東伊豆の海で詳しく観察されている。メスはオスに比べて小振りで、体色がやや薄い。日没直後、水深3メートルほどの所にいた腹部の大きなメスがオスを従えて沖に向かって素早く泳ぎ出す。オスが時々スピードを上げて胸びれを広げてメスの周囲を回る。そんな行動を何回か繰り返した後、メスが30センチほど急上昇すると、オスもメスの脇腹をあおぎながら上昇し、突然、放卵・放精して別々に反転する。

産出された卵塊はピンポン玉ほどの大きさをした中空の粘液の袋状で、2個を同時に産む。粘液の中には直径約0.8ミリの小さな卵が並んで埋まっていて、一日半ほどで仔魚(しぎょ)がふ化する。