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生きものがたり

魚も時差ボケする? 夜は砂に潜って眠るホンベラ

2013/11/9

食用魚ではないホンベラは、なじみの薄い魚かもしれない。しかし、日本海や九州北部、伊豆の沿岸にたくさんいる小ぶりのベラで、夜になると砂に潜って眠る習性がある。

私たちは海外旅行をするとき、時差ボケに悩まされる。それは旅行先の時間と自分の体内の時間が相違するからで、体内に時計のようなメカニズム、すなわち生物時計があることに気づかされる。

生物時計のコントロールが弱いオハグロベラ

■魚の生物時計は…

生物時計はほとんどすべての生物にあるとされているが、コントロールの強弱は生物によって異なり、人間の場合は個人差もあって、これが強いと時差ボケが長く続くことになる。

魚ではどうなのか。ベラの仲間を使って、生物時計によるコントロールが種類によってどのように異なるか実験したことがある。

まず、夜は砂に潜って眠るホンベラと、砂に潜らず岩陰などで静止するオハグロベラで、それぞれ一日中明るい条件と一日中暗い条件で比べてみた。

ホンベラは明暗どちらの条件でも、いつものように夕方は砂に潜り、朝には砂から出て泳ぎだした。ところがオハグロベラは明るいままだと夜も長くは眠らず、暗いままだとほとんど活動しなかった。つまり、ホンベラは生物時計のコントロールが強く、オハグロベラでは弱いことが分かった。

次に、ホンベラのように砂に潜るイトベラと、砂に潜らず石の下や岩の隙間で眠るニシキベラとホンソメワケベラで同じ実験をしてみた。その結果、イトベラはホンベラと同様、生物時計によるコントロールを強く受けているが、ニシキベラとホンソメワケベラではコントロールがやや弱いことが分かった。すなわち、眠る場所の遮光性が強いベラほど生物時計のコントロールが強いということになる。

派手な体色のホンベラ(葛西臨海水族園)

砂に潜るベラは砂から出て泳ぎだす時が危険で、外敵が活発に餌を探している最中に泳ぎだすと、格好の餌になってしまいやすい。砂に潜ると、海中の明るさの変化は分からないので、起きだすタイミングを生物時計によって知ることが重要なのだ。

昼夜を逆転させると、ホンベラは新しい時間に慣れるのに2週間近くかかった。その間、時差ボケになっていたことになる。

ベラの仲間には派手な色の種類が多く、色と模様が雌雄でまるで違う種類もあれば、成長につれて大きく変わる種類も少なくない。

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