明治時代は男も「なでしこ」 その意外な使われ方

ロンドン五輪で奮闘中のサッカー女子日本代表の愛称に使われる「なでしこ」。「やまとなでしこ」といえば、おしとやかな女性を表すことが多いと思われますが、古い新聞記事を見ていくと、過去には今とは違った、驚くような「なでしこ」たちがいたようです。

詐欺で捕まった男も

なでしこジャパンの活躍に注目が集まっている

男性のなでしこがいた、といっても佐々木則夫監督のことではありません。元文教大教授の遠藤織枝さんは「明治から昭和の初めくらいまでは男性のことも、なでしこと呼んでいた」と言います。遠藤さんの近著「昭和が生んだ日本語」(大修館書店)によれば、英国人男性と日本人女性の間に生まれた息子や、詐欺で捕まった日本人男性を「やまとなでしこ」としていた実例があったそうです。

明治期では、駐日英国公使アーネスト・サトウ(サトウといっても、日本人ではありません)と日本人女性おかね、その息子を紹介。その中で息子のことを「やまとなでしこ」と表現していました。昭和初期には米国人のふりをして金銭を巻き上げていた日本人男性を「やまとなでしこ」としている記事がありました。

外国と対比するなかで

また、女性をいう場合でも現在とは違った状況が見られます。最近の辞書には「日本女性の美称」(広辞苑第6版)、「日本女性の清楚な美しさをたたえていう語」(日本国語大辞典第2版)などとありますが、戦前の辞書を見ると「日本の女性」(明解国語辞典)、「日本婦人の異称」(大辞典)と、日本人の女性全般を指していました。

実際に明治期では、植民地になった台湾へ渡った娼婦を「やまとなでしこ」としていた記事があります。一方で、米国で活躍する薬剤師の日本人女性も登場するなど、昭和の初めごろまでは男女とも、外国と何かしら関係のある人に対し幅広く使っていたようです。

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