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国産ブドウ100%ワイン、なぜ「国産」と呼ばない?

2014/2/5

ビールや日本酒など国内の酒の消費が全般的に伸び悩む中でここ数年、ワインの消費が伸びている。特に注目を集めているのが、国産ブドウを原料に仕込んだワインだ。ただこのワイン、メーカーや店舗は「国産ワイン」と呼ばずに、あえて「日本ワイン」と呼ぶケースが増えている。いったいどうしてなのか――。

増える表示変更

「日本ワイン」と表記する売り場も増えてきた(東京都渋谷区の東急百貨店本店)

毎年11月に開かれる「山梨ヌーボーまつり」(山梨県ワイン酒造組合主催)。山梨産ワインの宣伝や販売増を目的に1988年から始まった催しで、同月初旬の東京・日比谷公園を皮切りに、地元山梨や大阪などでも開かれている。

有料だが、出展した地元ワイナリー(2013年は37社)の新酒ワインを少しずつ試飲できるのが大きな魅力。祭りが始まった当初は各メーカーを次から次へと試飲して歩けたが、年々人気が高まり、近年は行列しなければありつけないほどの混雑ぶりだ。

人気の背景には、山梨ワインの味の向上がある。以前は種類が少なかった白の辛口も、現在は豊富な種類の中から選べるようになった。山梨だけでなく、北海道や新潟、山形、京都――など国内各地のワインも続々登場。販売する店舗も増え、良質の国産ワインが適正価格で手に入るようになった。

ただ実際に売り場に足を運んでみると、ちょっと不思議な光景に出くわす。東急百貨店本店や高島屋新宿店などのワイン売り場では、「国産ワイン」ではなく、なぜか「日本ワイン」や「日本」などと表示している。

サントリーは2010年から、国産ブドウ100%ワインを「日本ワイン」と名付けた。例えば最近の宣伝文を見ると、「国産ワイン新商品発売」とせずに「日本ワイン新商品発売」などと書いてある。メルシャンも2011年のプレスリリースには「日本産(国産)ブドウ100%から造る『日本ワイン』」と記載している。北海道小樽市に本社を置く北海道ワインは、広告で「純国産ワイン」とわざわざ「純」を付けて表記している。

消費者にとっては「国産」とするほうがピンとくるように思えるが、なぜ「国産」表示を避けるのか。

輸入ブドウで造っても「国産」

「『国産』と表示できる範囲が広すぎるため、せっかく品質の高い国産ブドウでワインを造ってもその魅力をアピールしにくいからです」。ワインエキスパートの資格(ソムリエと同等の資格)を持ち日本のワイン事情にも詳しい中央大学商学部の原田喜美枝教授が解説する。

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