N
ライフコラム
ことばオンライン

2012/12/4

ことばオンライン

意味の違いが生まれた過程は様々

【日中同形異義語の例】
日中同形語中国語での意味
老婆女房、家内、かみさん
愛人配偶者、妻、夫
母親
脚気水虫
告訴知らせる、告げる
調理しつける、調教する
手紙ちり紙、便所紙
同居男女が同棲すること
勉強無理強いする、無理にさせる
丈夫立派な男子、夫

同じ漢字なのに、なぜこのような違いが生じるのでしょうか。その理由は、ことばは生き物だから、の一言に尽きます。

中国から日本へ大量に漢字が流れ込んだはるか昔には同じ意味をあてていたものが、日本で定着していく過程で意味が変わっていったケース。逆に、中国では意味が変化したが、日本ではそのまま使われている例、そして中国から「輸入」した時点で、日本で独自の意味をあてはめたことばもあります。

一例が、中国では「母親」を指す「娘」という漢字。陳教授によれば、中国では唐(618~907年)の時代には、今の日本と同じ、娘(親にとって、自分の子どもである女性)の意味で使っていましたが、いつしか変化して母親を指すようになり、今日に至っているそうです。

日本側で変化した例としては前述の「愛人」のケースが当てはまります。少し前までは日本でも中国と同じように、愛する人というそのままの意味で使っていました。戦後間もない1952年に発刊した国語辞典の辞海(三省堂)では、愛人を「愛する人、恋人」と規定しています。岩波国語辞典(岩波書店)も第1版(63年)と第2版(71年)は同様の定義でしたが、79年に出た第3版以降では、「第二次大戦後、新聞等で『情婦』『情夫』を避けてこの語を使い……」と、現在通用している意味に近い説明文を加えており、戦後のある時点で意味に変化が加わったことがうかがえます。

中国を理解する一助に

一昔前、大学生が授業で選択する第二外国語はフランス語やドイツ語が主流でした。しかし現在は様変わりしています。中国語習得熱が高まっており、大学によっては、第二外国語で中国語を選択する学生が多数を占めるそうです。

政治的な関係はさておき、個人レベルでの日中の関係は今後ますます深化していくでしょう。「外国語を学ぶということは、もう一つの新しい世界を開くこと」(陳教授)。日中同形異義語を知ることは、中国を理解する一助になるかもしれません。

(武類祥子)

注目記事