「新選組」 迷う「せん」の漢字

江戸時代末期の1863年(文久3年)、尊攘派浪士らの鎮圧のため組織された浪士隊「しんせんぐみ」。「新選組」と「新撰組」の2通りの漢字表記を見かけますが、いったいどちらが正しいのでしょうか。

「しんせんぐみ」に関する書籍は数多くありますが、「選」「撰」どちらの表記も見られます。現存する資料に当たっても、局長だった近藤勇をはじめ隊士らが書いた手紙には両様の表記が残され、学説でも「新選組」「新撰組」のどちらも正しいとされています。ただ、隊の公印が「選」を使用していたことから、最近では「選」が一般に多く使われ、記憶に新しいところではNHK大河ドラマも「新選組!」(2004年)でした。

では、教育現場はどうなっているのでしょうか。「しんせんぐみ」が教科書に登場するのは古くても1960年代で、授業で習わなかった人も多いと思います。現行の高校日本史教科書全18種を調べたところ9種に掲載され、当初から「新選組」のものをはじめ「選」の表記が優勢でした。「新撰組」や「新選(撰)組」としている出版社もありますが、最近の表記傾向を考慮し「2004年発行の教科書から『選』に変更した」(清水書院編集部)という社もあり、今後は「選」が広がっていくと思われます。

さて、新選組・鬼の副長と恐れられた土方歳三。最期の地となった北海道函館市では5月15日の「五稜郭祭」で、土方らしさを演技で競う恒例の「土方歳三コンテスト全国大会」が開かれます。毎年話題になるこの祭りの正式名称は「箱館五稜郭祭」。こちらは「函館」ではなく「箱館」と明治以前の地名表記を使っていますのでお間違いなく。(佐々木智巳)