親子で体験「辞書引き学習」 話題の勉強法の効果は?

辞書とともに欠かせないのが付せん。住友スリーエムやニチバンなどの製品が学習の普及とともに売れているという。学習国語辞典が1冊約2000円なのに対し、付せんは1枚あたり1円前後なので学習すればするほど辞書より割高になることも。ブームに着目したニチバンでは、1月に専用の「辞書引き付せん」を発売。実際に「辞書引き学習」に取り組む小学校を訪ね、小学生が文字を書くのにちょうどいい大きさ(25ミリ×75ミリ)に設定した。細かな配慮も奏功し、主に文房具店向けだった販売ルートが書店や生協に広がったことも手伝い、「予想を上回る売れ行き」(テープ事業部)となっている。

はる・張る・貼る

ところで「付せんを辞書にはる」の「はる」の漢字は、「張」か「貼」か。現在の常用漢字表(1945字)には「貼」がないため、新聞では「張」を使い、この記事中も「張」で統一しています。年内に告示予定の改定常用漢字表(2136字)には「貼」が入るため、新聞では「貼」に表記変更する方向で検討しているところです。今後、辞書の記述も変わることになるでしょう。(佐々木智巳、中川淳一、若狭美緒、小林肇)

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辞書引き学習」の開発者 深谷圭助・中部大准教授に聞く

――なぜ小学1年生から辞書を引かせるのですか。

言葉に対する興味が高く、知的好奇心に満ち、学習に対する姿勢が前向きな時期だからです。1年生から辞書を使わせるのは早すぎると言う人がいますが、平仮名が読めれば辞書は引けますし、実際に子供たちは夢中になってどんどん引いていきます。すべての学力の基礎になるのは国語力です。国語力をつけるには、子供に辞書を与え、引いて調べて確かめる習慣をつくってあげることが必要です。

小学4年生くらいになると自我に目覚めて「こんなことをして何の意味があるのか」という意識が出てきて、単純な反復練習に我慢できなくなってしまいます。基礎的学力をつけるには低学年から辞書引き学習を始め、自ら学ぶ力をつけることが効果的なのです。

――学校などで「辞書引き学習」をする際、友達と引いた数を競うだけにはなりませんか。

数を競うことも、学習の入り口としては必要です。数の多さに達成感を得る子もいれば、少なさに劣等感を抱く子もいると思います。ただ、多い子も少ない子もこの段階では数の成果を見せたい対象は、友達ではなく親や教師です。調べた事柄が増えてくれば、興味は数ではなく内容に向かっていきます。友達とは「何を調べたの」「こんな言葉を引いてみた」と自然と交流が深まります。そして「次はこれにしてみよう」などと発展し、自ら学ぶ力がどんどんついていくはずです。

――学校や学級で、「辞書引き学習」についていけない子はどのくらいいるのでしょうか。

付せんの数という結果だけに目が向き、数が多ければいいというような成果主義は「辞書引き学習」の観点とは異なります。「辞書引き学習」の本質は自分で学ぶ力をつけることですので、付せんの数が他の子より少ないから学習が遅れているということにはなりません。

――最後に、辞書を選ぶポイントは何でしょうか。

どこの出版社でも構いませんが、総ルビ付きで、1万5000以上の語を収録した、できるだけ新しい改訂版が望ましいでしょう。調べたい言葉が載っていなくては意味がありませんので、新しい辞書がいいですね。学校で指定された辞書と家庭で使う辞書が異なっても構いません。辞書によって書いてあることが違うということを学ぶきっかけにもなります。

▼ふかや・けいすけ 1965年生まれ。愛知教育大卒。名古屋大大学院修了。博士(教育学)。愛知県の公立小学校教員時代から「辞書引き学習」を実践。2005年立命館小学校の設置メンバーとなり、教頭、校長を歴任し2010年4月から現職。著書に「7歳から『辞書』を引いて頭をきたえる」(すばる舎)、「なぜ辞書を引かせると子どもは伸びるのか」(宝島社)など多数ある。