親子で体験「辞書引き学習」 話題の勉強法の効果は?

張った付せんの数は意外にも2年生の妹の方が多いという結果になった。付せんに書く数字が200、300と大きくなっていくこと自体が楽しいようで、「これ知ってる!」と開いた辞書のページに見つけた語に片っ端から張っている様子。しかし、辞書の引き方を覚えるという段階にはまだ至っておらず、関心を持った事柄を探しあてるという作業はまだまだ難しいようだ。

付せんで「成長」した辞書

「付せんは増えなくてもいいの」。5年生の姉は、張ることより語釈を読むことに興味があるようだ。妹が1ページに付せんを集中させるのと対照的に、姉の付せんの数字を追うと「大きい(293)」の次は「小さい(294)」のように順序ができていた。これは引いた語の語釈にある対義語・類語を確認しては引き、また張るといった形跡をうかがわせる。

継続には親の出番も

もともと学習意欲が旺盛というわけではない娘たちが「自学」に目覚めていく姿に驚かされた記者。ただ、姉も妹も学校の宿題や習い事などで辞書に接する時間が十分にとれないのが現状だ。せっかく始めた「辞書引き学習」も継続しなければ意味がないため、子供の好きなことをテーマにして誘導するなど、興味を持続させる工夫も必要となる。辞書と付せんを与えるだけで単純にうまくいくわけではなく、学習の継続には親の役割も重要だと感じている。

「辞書引き学習」の普及を背景に、小学生向けの国語辞典が進化している。小学1年生からの利用を想定し、すべての漢字に振り仮名をつけたものが増え、紙の軽量化を図った「例解小学国語辞典」(三省堂)、付せんを張るのに辞書が耐えられるよう表紙の素材を丈夫な樹脂にした「チャレンジ小学国語辞典」(ベネッセコーポレーション)など、ブームに合わせ出版各社の工夫が見られる。

しかし、もちろん大事なのは辞書の中身。早稲田大学非常勤講師の飯間浩明さんは「『こわい』を引くと『おそろしい』、『おそろしい』を引くと『こわい』としか書いていないような語釈が循環する国語辞典がまだまだ多い。子供向けの学習辞典も同様で、これからは循環を避けつつ、短く、しかも分かりやすく説明することが必要」と言う。辞書の記述を子供の知的好奇心に堪えられるようにするのが、辞書編さん者の腕の見せどころとなる。