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ライフコラム
ことばオンライン

2012/12/18

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辞書での意味も変化

橋本教授は「活が『努力』の意味を表すようになった」とも見立てています。「就活、婚活は就職、結婚という『目的に向けての活動』を意味している。例えば従来あったクラブ活動という用法は、『クラブという目的に向けての活動』ではなく『クラブとしての活動』の意味で、直接の目的ではなかった点が異なる」(同教授)。ある目的のために積極的な行動をすることは、総じて自ら努力することでもあります。その点が「活」一字だけで表現できるようになったため、造語に際して非常に使い勝手が良くなったのではないか、と。

「活動」の語釈で新明解国語辞典(三省堂)は第4版まで「そのものにふさわしい動き(働き)を見せること」などと単純な記載でした。しかし97年発売の第5版では「目的(使命)に応じた積極的な行動や運動をすること。また、その行動や運動」という項目を追加しています。活動に「目的のために」という意味が新たに加わったことも、「○活」が違和感なく受け入られる下地になったのかもしれません。

業界がブーム仕掛けている側面も

就職や結婚が典型ですが、かつては自然に行われていたことが難しくなり、努力しないと成就できないようになった社会情勢やライフスタイルの変化も背景にあるのでしょう。努力のサポートやノウハウの提供には商機が生まれます。「○活」という言葉の誕生を考えるに当たっては「産業との結び付き」も見逃せない要素だと橋本教授は指摘します。

広辞苑第6版(岩波書店)の「うど(独活)」の項目

「婚活」ならブライダル業、「終活」なら葬祭業、「美活」なら美容業……と、「○活」という言葉の流行は大きなビジネスチャンスにつながります。ですから業界側からブームを仕掛けている側面も大きいはずです。こうした「○活」の今後について橋本教授は「就活と婚活は残る。ただほかは現在ははやり言葉にすぎず、このはやりが続くかどうか。パッと出てすぐに消えるものも出てくる」と予測しています。

あれこれ調べているうちに、ふと気になる単語を見つけました。「独活」。独身でなくなるためなら婚活だし、独身になるためなら離活のはず。正解は辞書の中にちゃんとありました。独活は「おひとりさま」のように、積極的に生涯、独身を通すことではありません。何のことはない、山菜の一種「ウド」を漢字書きしたもの。婚活など結婚にまつわる「○活」があふれているせいで、「独」をてっきり独身のことだと思い込んでしまったのが間違いのもとでした。

(中川淳一)

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