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ライフコラム
ことばオンライン

2012/12/18

ことばオンライン

2014年春入社を目指す「就活」は12月1日、本格的にスタートした(東京都江東区の東京ビッグサイト)

01年前後といえば大学生の就職内定率が史上最低水準に落ち込み「就職氷河期」と呼ばれた時期と合致しており、解説には説得力があります。記者(34)もこの時期に就職活動をした世代。01年あたりから広く使わるようになったという見方は、当時の肌感覚とも合っています。なお国語辞典で最初に採用したのは06年の大辞林第3版(三省堂)でした。

雑誌から誕生した「婚活」

就活に続いて一般的に広まったのが、結婚活動の略である婚活。自然発生的に誕生したであろう就活と違い、いつ誰が使い始めたのかはっきりしています。朝日新聞社(当時)の週刊誌「AERA」07年11月5日号で「結婚したいなら“婚活”のススメ」と使われたのが最初。翌08年に生みの親である中央大学の山田昌弘教授(家族社会学)と、同記事を執筆したライターの白河桃子さんの共著「『婚活』時代」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が発売され、急速に普及しました。

同書で山田教授は「就職活動は略して『就活』だから『結活』でしょうか、いや、結活は発音がしにくいから『婚活』にしたらと提案した」と由来を明かしています。その後、妊娠のための妊活、子供の保育所入園のための保活、離婚のための離活など、結婚と密接に関わる事柄から芋づる式に新語が作られていくことになります。現代用語の基礎知識で新規に設けられた項目例を見ると、11年版での増加が顕著です。

大辞泉(第2版、インターネット版)に収録された主な「○活」の語釈
語源語釈
朝活朝活動始業前の朝の時間を、勉強や趣味などの活動に当てること。平成20年(2008)ごろ
からの流行語
婚活結婚活動理想の相手を見つけ、幸せな結婚をするためにさまざまな活動をすること
転活転職活動「就活」をもじった語か
妊活妊娠活動妊娠についての知識を身につけ、体調管理を心がけたり、出産を考慮に入れた人生
設計を考えたりすること
離活離婚活動円満な離婚をめざし、離婚後の生活環境を整えるために行う活動。調停離婚に際し
て知識を身につける、離婚後の住居を確保する、就業のための資格を取得するなど

(注)語釈は一部略。妊活は「デジタル大辞泉」に収録


省略語にとどまらず

ここまで取り上げた「○活」は、就職(就活、ソー活、転活)、結婚(婚活、離活)、出産(妊活、保活)、臨終(終活)――などいずれも人生の重大事であるという共通点がありました。ですが週刊誌の見出しや新語辞典などに躍る「○活」はそうした範囲に収まらず、最近では「美活」「寝活」「温活」まで登場し、もはや乱造ともいえる域に及んでいます。

こうした状況について、花園大学の橋本行洋教授(日本語学)は「活が『語構成要素』(接尾語)になった」とみています。以前は就職活動、結婚活動など元となる語が前提としてあり、その省略形として生まれていました。しかし現在では元となる語を前提とせずに、いきなり「○活」だけで造語力を持つに至ったというわけです。「保育所入園活動」を省略したわけではない保活は、前段階の言葉を経ずに誕生した好例といえます。

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辞書での意味も変化