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ジキョウ、ジシャガ…自動車教習施設の略称の謎

2014/6/11

「シャコウの合宿に行こうよ」。名古屋出身の記者は学生時代、夏休み前の時期になるとよくこんな言葉を耳にした。「シャコウ」は自動車の教習施設の略称だが、東京出身の同僚に聞くと「それは『キョウシュウジョ』でしょ」と返された。周囲にいる他地域出身の友人や知人に尋ねると、ほかにもいろいろな呼び方があるようだ。調べていくと、若者ことばとの深い関係が見えてきた。

略称に2つの系統

これらは方言なのか? 地域方言に詳しい関西大学の日高水穂教授に聞いてみた。日高教授によると、自動車教習施設の略称は地域によって異なり、さらに「自動車教習所」を略した系統と、「自動車学校」を略した系統の2つが存在するという。

自動車教習所は関東や関西の二大都市圏では「キョウシュウジョ」「キョウシュウ」という略称で呼ばれることが多く、栃木や長野で多いのは「ジキョウ」。一方、自動車学校系の略称には「シャコウ」(東海、東北、中四国、九州など)や「ジシャガ」(青森、秋田など)、「ジシャコウ」(青森、宮城、長野など)といった呼び方があるという。

全国の自動車教習施設の正式名称を調べると、確かに「〇〇自動車教習所」もあれば「△△自動車学校」もある。しかし、そもそも「自動車教習所」と「自動車学校」との違いは何なのか?

法律の条文は「教習所」

まず法律的な根拠を確認するため、道路交通法を見てみた。1960年制定の同法は98~100条で自動車教習所について規定しており、運転技能の教習を行う施設のことを「自動車教習所」と明記している。法律の条文からすれば、正式名称は「自動車教習所」ということになるが、同法は個別施設の名称についてまでは規定していない。

中部地方では「自動車学校」という名称が多い(愛知県大治町の大治自動車学校)=同校提供

もう一つの系統である「自動車学校」という呼び方はどこから来たのか。

日高教授が全日本指定自動車教習所協会連合会の資料を基に2009年に実施した調査によると、施設の名称を「自動車学校」としているのは872件、「自動車教習所」としているのは279件だった。

法律の条文中では正しいはずの「自動車教習所」という名称に比べ「自動車学校」という名称は3倍以上だったのだ。

この状況について日高教授は「自動車教習施設が全国に普及する過程が関係している」と指摘する。

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