下げ相場でも連戦連勝 「グロース株」投資の秘訣

日経マネー

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2016年初からの大荒れ相場で個人投資家には強い逆風が吹いた。だが、そんな中でも利益を出し続ける投資家がいる。公認会計士として活躍しながら、個別株投資も手掛ける足立武志さんは、3月下旬時点で「トータルではプラスに浮上した」と言う。2月には持ち株のほぼ全てを一旦売却したが、その直後に値の戻りが強い株に厳選投資して取り返した。

その株とはズバリ「グロース株」。グロース株とは、今後も成長が見込める株式銘柄を指し、「成長株」と呼ばれることもある。もっとも、どの銘柄がグロース株たり得るのかを判断するのは極めて難しい。足立さんに銘柄選定のコツを聞いた。

足立流銘柄選定の1つ目のポイントは「まずは好業績。2桁の増収増益率を保ち、できればROE(自己資本利益率)も2桁」。増収増益を続けている企業は大型株にも多いが、やはり1桁台が目立つ。個別株投資の醍醐味である大きな値上がり益を取りに行くなら、好業績の中小型株が狙い目だ。

2点目は外部環境への抵抗力。足立さんの持ち株の多くは内需系だ。円相場や資源価格など、企業がコントロールできない要素が多い銘柄は外す。「事業が多過ぎると判断しにくい」ので、グローバルで活動する大企業の銘柄もあまり持たないと言う。上場銘柄数は4000近くある。「わざわざ不確定要因が大きい銘柄を選ばなくても、この2つの条件に合致する銘柄はたくさんありますよ」とのこと。

ここまではスクリーニングでも見つかるが、それだけで有望なグロース株を見極めるのは難しい。そこで登場するのが3点目のポイントとなる「株価の勢い」で、チャートの形から判断する。足立流銘柄選定の真骨頂はここにあるとも言える。

チャートの形で「勢い」見極め

足立さんは「年初来高値を超えてきた銘柄の中から、勢いが持続的かを見極める」。上の例はそーせいグループのチャート。高値を付けた後、一旦下げている。中にはそのまま上がらなくなることもあり、これを「ダマシ」と呼ぶ。

ダマシかどうかの見極めに使いやすいのが移動平均線で、一旦下げた後、再び平均線を超えてくれば勢いがあると判断できる。逆に平均線が下を向き始めたら、上昇一服の合図なので手じまう。

高値圏の銘柄は「Yahoo!ファイナンス」でも確認できる。足立さんは高値圏の銘柄を含めて400銘柄ほどのチャートをウオッチしているそうだ。

「好業績」の見方にも注意点がある。例えばラオックスのように、増収増益決算でも売られることがある。「業績の伸び率と株価のピークは重なりやすい」ので、思ったほど業績が伸びていないと感じたら売りを考えよう。

もしその見極めが難しければ、業績発表後の株価に素直に従えばいい。「結果的に株価が正しいことが多い。判断に迷ったら、株価のトレンドに乗っかるのが一番安全」なのだ。

「割高」は気にしない

PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)など、割安・割高の判断指標も気になるところだ。だが、こうした指標は「グロース投資では気にしなくてよい」と言う。「グロース株のPERは高いが、それを理由に上昇が止まることはあまりない」。仮に業績拡大が続くなら、利益の伸びにPERが後から追い付くからだ。株高が持続している間は、PERは気にせず波に乗ろう。

もう1つ、優良グロース銘柄を見つけるコツがある。それが外国人投資家の持ち株比率で、この比率が上昇する過程では株価も力強く上昇しやすい。レオパレス21の2000年以降の株価推移は外国人持ち株比率の動向と一致している。

この比率は決算短信などには記載がないが、『日経会社情報』などに記載の株主欄で簡単に確認できる。時系列に並べて、比率が1桁から2桁に上がったら買いを検討するといいだろう。

日銀のマイナス金利政策導入で注目が高まった高配当株も注意点が多い。業績拡大の裏づけがないのに、利回りが4%超など高い場合は「減配するリスクを株価が織り込んでいる可能性が高い」。「少なくとも過去5年、できれば10年間は業績と配当が横ばいか増えているのが望ましい」と言う。連続増配銘柄も有望だ。

業績だけに頼らず、チャートもにらみながら売買できるようになれば中級者だ。足立さんは著書でも詳しく解説しているので、勉強してみるといいかもしれない。

足立武志さん
公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー。資産運用に精通。『株を買うなら最低限知っておきたいファンダメンタル投資の教科書』など著書多数。

(日経マネー編集部 嶋田有)

[日経マネー2016年6月号の記事を再構成]

日経マネー2016年7月号

著者 :日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)