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ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。3回目は東京駅八重洲口のほど近くに地下1階、地上8階の大型店舗を構える八重洲ブックセンター本店だ。

大型店舗の2階に上がると、その本の量に圧倒される。普通の中型店舗並みの広さに並ぶ書棚のすべてがビジネス書、経営書、経済書なのだ。経済論の書棚がある。それとは別に金融関連、株や投資、業界別の専門書、もちろん経営論や仕事術、リーダーシップ、さらにはメンタルヘルスや会社法……それらがジャンル別にそれぞれ通路を挟みながら別々の書棚に並んでいる。何点か古めの刊行書を探してみたが、10年以上前に出た本も難なく見つけることができた。

客層は30~40代以上の男性

ここでは何が売れているのか。販売課2階フロア長の木内恒人さんの話を聞いてみよう。客層でいうと、30~40代以上の男性客が圧倒的に多い。そのせいか「昔から活躍している人気筆者の本が売れる」という。その代表格が経済評論家の長谷川慶太郎氏と経営コンサルタントから多彩に活動を広げる大前研一氏だ。いずれも40年以上執筆活動を続け、今なお旺盛に本を出し続けている。長谷川氏には毎年刊行される「大局を読む」という経済予測の定番シリーズがあるが、こうした本が他店よりも動くのが八重洲本店の特徴らしい。大前氏はこの4月にも『「0から1」の発想術』(小学館)、『ニュースで学べない日本経済』(KADOKAWA)の2冊を刊行、『「0から1」の発想術』は先週のベストセラーで6位に食い込む健闘ぶりだ。

3~4月の傾向でいうと、会計や税務などの専門書がよく売れていたという。「人事異動などで部署が変わり、新しい部署に対応した専門知識を身につけたい人が買っていくようです」と木内さん。こうした傾向は毎年見られるようだ。

店頭イベントで生まれる売れ筋

それでは、先週のベスト5を見ていこう。同店のベストセラーは分類が細かく、経済・経営書とビジネス書はそれぞれ別にランキングがつくられている。ここで見るのはそのビジネス書ランキングだ。

(1)世界の超一流から教えてもらった「億万長者」思考稲村徹也著(日本実業出版社)
(2)本音に気づく会話術西任暁子著(ポプラ社)
(3)一流の育て方ムーギー・キム、ミセス・パンプキン著(ダイヤモンド社)
(4)いらない課長、すごい課長新井健一著(日本経済新聞出版社)
(5)戦略は歴史から学べ鈴木博毅著(ダイヤモンド社)

(八重洲ブックセンター八重洲本店、2016年4月10日~4月16日)

第1位は他店のベストセラー上位ではあまり見かけないが、著者の関連する会社が近所にあり、社員らに同店でのまとめ買いの指示が飛んでいるらしい。2位の本も他店では見ないが、近く同店で著者の講演会の開催が予定されており、本の購入でその整理券が入手できるため上位に来たという。著者イベントを数多く開催して販促を進めているこの店らしいベストセラーといえそうだ。

3位は先週のリブロ汐留シオサイト店でも登場した。これまで3店を回って複数店で顔を出した本は本書だけ。刊行から2カ月売れ続けており、人気の広がりが感じられる。4位は本サイトでも一部を転載しているプロ課長の仕事術を解説した1冊。5位は戦略コンサルタントによるシーザーから信長、ナポレオンらに学ぶ戦略論で、「社長、部長、課長と"長"にからんだ本、リーダーシップ論もよく売れる」(木内さん)という同店の傾向を反映したベストセラーになっている。

来月もこの3店を順番に回ってひと月でどんな変化が表れるか見ていこうと思う。

(水柿武志)

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