五輪後の経済を生き抜くオープン&クローズ戦略生き残るために、支えるために~プロローグ(2)

公認会計士・税理士 藤田耕司 日本経済新聞社 編集委員 渋谷高弘

公認会計士・税理士 藤田耕司 日本経済新聞社 編集委員 渋谷高弘

藤田 そういった技術のグローバル化、標準化が進む中、「post 2020」に向けて私たち働き手は、どんな働き方を意識する必要があるのでしょうか。

一人ひとりに求められる「オープン&クローズ戦略」

渋谷 今、技術や知財の分野で注目されるのが、「オープン&クローズ戦略」です。私はこのキーワードが、技術だけでなく、働き手すべてにとって大事になると思います。

藤田 「開かれた」と「閉じられた」ということですよね。どのような戦略なのですか。

渋谷 自分の技術や知識の中で、本当に大事なものは自分だけで使う(クローズ戦略)けれども、その他のものは積極的に外部に開放する(オープン戦略)という、2つの戦略を意識的に使い分けることをいいます。つまり自分に足りないものは、積極的に外部から導入して自らの成長に利用するのです。

これまで日本企業は独自の技術にこだわる傾向が強く、オープン&クローズ戦略で米国や中国、韓国、台湾の企業に後れをとったのです。その反省から今、日本企業は懸命にオープン&クローズ戦略を事業に取り込もうとしています。

このことは日本の働き手にも言えるのではないでしょうか。サラリーマンの場合、自社の都合や縦割り組織の論理に縛られ、外部や、時には自社の他部門との間ですら協力ができないことがあります。自営業者の場合も、業界の慣習や自分の立場にとらわれ過ぎていると、せっかくのビジネス機会を逃しかねません。

藤田 これからの働き手は、自分の強みだけでなく、他者の強みをほどよく組み合わせていく工夫が必要とされるわけですね。

渋谷 ただ、他者から強みを分けてもらうのに、自分の強みだけは独占するといった手前勝手な姿勢では、誰からも相手にされません。ですから、他者から頼りにされる強みを持ち、それを他者に提供する。その代りに他者から自分が足りない力を提供してもらう。「post 2020」には、そんな働き方が求められるのではないでしょうか。

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