REITに追い風 マイナス金利拡大なら短期売却も

日経マネー

日経マネー

異次元金融緩和で息を吹き返したREIT(不動産投資信託)。旺盛な物件取得や新規上場など関連の話題も多い。これからの投資のチャンスはどこにあるのか、不動産証券化コンサルティングを手掛けるアイビー総研代表の関大介氏が解説する。23回目は、日銀の金融緩和に対する戦略について考える。

REIT価格は株式市場の低迷をよそに順調な値動きを示している。日経平均株価が1年間(2015年度)に12%超下落したのに対し、東証REIT指数は15年度末と同じ水準に踏みとどまった。

16年1月末に日銀がマイナス金利政策を打ち出すまで、東証REIT指数も日経平均同様、下落基調にあった。株式相場低迷の背景には円高の進行があるとみられるが、為替の影響を受けないREIT価格はマイナス金利の恩恵だけにあずかる形になっている。

注:投資口価格などは2016年4月5日時点

マイナス金利はREITにとっていいことずくめの政策だ。10年物国債の利回りがマイナス圏に落ち込み、投資や融資を半ば強制されることになった金融機関はREIT投資を拡大。さらに、調達金利まで低下するというダブルのメリットをもたらしている。

ただし、株式相場の下落が続くと、同じ市場に上場するREITも安泰とはいえない。価格が影響を受ける局面もあるとみるべきだ。東証REIT指数が2000ポイント超の水準を維持するには株式相場の回復が欠かせず、これまで述べてきた通り、当面は押し目を狙って短期の売却益を狙う戦略が有効な局面が続くだろう。

マイナス金利拡大時の戦略

16年4月以降、日銀の主要政策であるインフレターゲットの実現時期先延ばしが指摘されるなど、物価上昇の動きは停滞感を強めている。これは追加緩和、つまりマイナス金利幅拡大の必要条件が整いつつあるとみるべきだろう。追加緩和でREIT価格はさらに上昇すると考えられるが、その時に備え、短期売却益を狙う、別の投資戦略も考えておきたい。具体的には、利回りが中央値[注]周辺の銘柄に対する投資だ。

[注]REITは利回りのばらつきが大きいため、投資判断に利回りを使う時は、単純な平均値ではなく、利回り順に銘柄を並べた時の中央値の方が適切な場合が多い。

過去を振り返ると、これまでの大幅なREIT価格上昇局面では、利回りが中央値周辺の銘柄ほど高い上昇率を示してきた。例えば日銀が14年10月末に実施した金融緩和第2弾では、まず利回り中位の銘柄が年末近くまで最も上昇し、その後、利回りが高かった銘柄の上昇率が追い越すという展開になっている。

つまり大幅な価格上昇局面では、既に投資家の評価を受けている利回りが低い(価格が高い)銘柄から徐々に利回りが高い(価格が安い)銘柄に投資が広がっていくという傾向がある。利回りが高い銘柄の価格上昇率が最も高くなった時点が上昇のピークというわけだ。

4月上旬時点では、各銘柄の利回りはかなりばらついている。マイナス金利幅の拡大でREIT価格の上昇局面が到来すれば、中央値周辺銘なら、押し目を待たずとも、短期的な売却益を確保できると見ている。

関大介(せき・だいすけ)
不動産証券化コンサルティングおよび情報提供を手掛けるアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2016年6月号の記事を再構成]

日経マネー2016年6月号

著者 :日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし