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ミャンマーで交響楽団の指導に汗 日本の著名指揮者

山本祐ノ介さん

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NIKKEI STYLE

国営のオーケストラを指導してほしい――。そんな依頼を受けた日本の著名指揮者が現地を訪ねてみると、そこは信じられない光景の連続だった。グランドピアノを開けたら、白いカビが舞い上がる。楽器は20年も手入れがされず、楽譜もない。演奏させてみたら、日本の小学生より下手だった。すぐに帰ろうと思ったが、楽団のメンバーたちは妙に人懐こく、なぜか心引かれた。

それが指揮者、山本祐ノ介さん(52)とミャンマー国立交響楽団との出会いだ。指導を始めて3年目、その存在すら知られていなかった交響楽団は今や、1500人収容の国立劇場を満員にし、国営放送でコンサートが生中継されるほど人気、実力とも急上昇中だ。

山本さんの父、山本直純さんはテレビ番組やテレビCMでもおなじみの超有名な指揮者だった。いつか父のようにボストン・ポップス・オーケストラを指揮したいと思っている祐ノ介さんが今、タクトを振っているのは、米国ではなく、ミャンマーだ。東京芸術大学、同大学院でチェロを学び、東京交響楽団の首席チェロ奏者として活躍した祐ノ介さんは、2011年から東京ニューフィルハーモニック管弦楽団の常任指揮者も務めている。

そんな祐ノ介さんにミャンマーで事業を手掛ける友人を介し、国立交響楽団の指導依頼があった。妻でピアニストの小山京子さんと初めてミャンマーを訪れたのが2013年5月。父直純さんが映画「ビルマの竪琴」の音楽を手掛けたことにも、縁を感じたのだが、実際に足を運んでみたら、抱腹絶倒の繰り返しだった。

まず1曲聞いてみようと思ったら、「これが信じられないくらい下手だった」(祐ノ介さん)。各自が勝手に音出しをしているのだとばかり思っていたら、それが曲だと言われ、まずびっくり。

シューベルトの未完成交響曲をやるというのだが、この曲に不可欠なトロンボーンがない。京子さんがピアノを弾こうとすると、カビが舞い立つだけでなく、鍵盤がくっついてしまって動かない。指導といっても無報酬、交通費さえも出ない。

それでも祐ノ介さんが引き受けたのは、「世の中にこんな下手な国営オーケストラがあるんだ」という新鮮な驚きと、「オーケストラ未開の地で、1から作っていくのも面白そう」と思ったためだ。

こうして年数回、夫婦でミャンマー詣でが始まった。初めは完全に手弁当。それでも祐ノ介さん、京子さんはたちまち指導にのめり込んだ。楽団の上達するスピードが異常に早かったからだ。

元々素養はあったのだが、指導者がいなかった。うまくなるとメンバーたちもうれしいから練習にも熱が入る。当たり前だった遅刻や欠席もなくなり、2014年12月、ついに初のコンサートにこぎ着けた。2人を支えたのは国際交流基金や大和証券グループの大和日緬基金で、コンサートでは大和のほか三井住友銀行などがスポンサーになった。

初コンサートは日緬外交樹立60周年の記念事業と位置づけられた。国営放送で生中継され、繰り返し再放送された。交響楽団の知名度は急上昇し、入団希望者も増えた。

2回目のコンサートは、2016年1月。ヤンゴンの他に首都ネピドーでも開いた。日本からジャズピアノ奏者の山下洋輔さんも参加した。当日は副大統領のほか大臣が7人来場し、政府から3月にマンダレーでの追加公演を要請された。

今年も12月にコンサートを予定している。相変わらずトロンボーンはいないし、ピアノの調律も楽器の修理もできない。それでも過去のコンサートの模様が、コンテンツ不足のミャンマーでは繰り返し放映されるので、楽団員たちは、ちょっとした有名人になった。練習にも一段と熱が入っている。

祐ノ介さんと京子さんには夢がある。初めてのコンサートでベートーベンの交響曲第1番を演奏した。2回目は第2番、今年12月には第3番に挑む。9回目に第9までたどり着いたら、彼らをニューヨークのカーネギーホールと東京のサントリーホールに連れて行き、演奏させたい。2人のミャンマーでの奮闘は続く。

(編集委員 鈴木亮)

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