通信対応がデジカメの常識へ SNS連携でパナ先行
スマートフォン(スマホ)で撮った写真をSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)にアップする感覚で、デジカメで撮った高画質な写真を投稿したいというニーズが高まっている。その最適解がデジカメのスマホ化と、デジカメからスマホへの自動転送機能。今後はこれらの対応に拍車がかかりそうだ。
動作は軽快、撮影性能は高級コンデジ並み
デジカメのスマホ化で最も先を行くのが、パナソニックの「LUMIX DMC-CM10」だ。
●実勢価格9万8580円(税込み)
●サイズ・重さ:幅135.4×高さ68×奥行き21.1mm・204g
●撮像素子:1型(2010万画素)
●開放F値:f2.8
●焦点距離:28mm
●モニター:4.7型・約622万ドット
●ISO感度:125~25600
●シャッター速度:60~1/16000秒
見た目は一般的なスマホのようだが、明るい単焦点レンズと1型の撮像素子を内蔵。SIMカードを差せばアンドロイド端末としてアプリも動作する。つまり、単焦点の高級コンデジとスマホを融合させたわけだ。
使ってみると、カメラはスイッチ操作で素早く立ち上がり、ストレスなく軽快に撮影できる。しかも画質は高級コンデジ並みで、背景がきちんとぼけていた。日常風景や料理などを撮り、素早くSNSにアップできるのは快適だ。月額1480円(税別)の専用SIMなら上りデータ容量は無制限で、安定して数Mbpsの速度でアップできた。コストさえ納得できれば、現時点では最強の"SNSデジカメ"といえる。ちなみにキャリアの音声通話には非対応だが、IP電話やLINEで通話できる。
僅かな時間差でスマホに写真が届く
デジカメとスマホ間の通信機能も進化している。今後のトレンドは、スマホへの自動転送だ。カシオは2015年から、発売した機種の多くに自動転送機能を搭載。
●実勢価格5万2650円(税込み)
●サイズ・重さ:幅108.3×高さ61.5×奥行き36.7mm・249g●
撮像素子:1/1.7型(1210万画素)
●開放F値:f2.8~6.3
●焦点距離:25~300mm
●モニター:3型・約92万ドット
●ISO感度:80~6400
●シャッター速度:30~1/20000秒
Bluetoothでスマホと常時接続。撮影を検知するとWi-Fiに自動で切り替わり、写真が送られる。シャッターを切ってから僅かな時間差で写真がスマホに届いた。連写性能に優れるなどデジカメとしての実力も不足ない。
ニコンも16年以降、コンデジから一眼レフまで原則としてスマホへの自動転送機能を搭載する計画だ。低消費電力のBluetooth LEを使うのでバッテリーの持ちがいい半面、解像度の高い写真は転送に時間がかかりそう。常用するなら縮小した画像を送るほうがいいだろう。
また、ニコンは撮影した写真の転送以外に、日時や位置情報をスマホと同期させたり、スマホからアプリを使ってリモート撮影したり、といった便利な機能を搭載する。
スマホとデジカメを個別に持っていても、撮るそばから手元に写真が届く時代がやってきた。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ2016年5月号の記事を再構成]
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