女性活躍阻む夜間就業 生産性上げ労働の質競え男女 ギャップを斬る(池田心豪)

2016/4/17

今月から東京の日本橋に買い物に行くときは百貨店の営業時間に気をつけた方がよい。2つの老舗が営業時間を短縮し、午前10時30分開店午後7時30分閉店となったからだ。

女性活躍にとって労働時間は避けて通れない問題であるが、長時間労働だけでなく「いつ働くか」という問題も切実である。筆者らが2010年に行った全国調査によれば所定の終業時刻が午後6時以降の場合、産休・育休から復職後5年間の就業継続率が低下する。

残業がなくてもシフト勤務の遅番のように終業時刻が遅いと仕事と育児の両立は難しくなるのである。理由は保育園のお迎えである。男女雇用機会均等法が施行された1986年と現在を比べると午後6時から8時の夜間就業割合は上昇している。その働き方を見直すことは重要な課題である。

とはいえ、顧客の立場になれば営業時間短縮は不便だろう。私も仕事帰りに閉店間際のお店に駆け込んだ経験がある。このときの30分や1時間は本当に大きい。時間短縮した分だけ売り上げは減るかもしれない。営業時間を延ばして売り上げを伸ばすというかけ算式の業績評価では、育児・介護等の時間制約がある社員よりも制約なく働ける社員の方が会社の業績に貢献できる。

その意味で、女性活躍は会社の業績にプラスどころかその足を引っ張る可能性すらある。しかし、効率化や高付加価値化により9時間営業で10時間分の利益を出すことができれば、時間制約があっても会社に貢献できる。時間当たりの生産性という割り算で考えるのである。

営業時間短縮に踏み切った百貨店はいずれも、サービスの向上がその目的だと言う。営業時間は短くても良質なサービスを得られるなら顧客にもメリットがある。労働供給の量による競争から質による競争へと転換することが重要なのである。

いけだ・しんごう 1973年生まれ。4児の父。企業の子育て支援や女性労働問題を研究。厚生労働省「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」(2014~15年度)メンバー。労働政策研究・研修機構主任研究員。