汐留ビジネスマンは企画で勝負!リブロ汐留シオサイト店

ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。2回目は東京・新橋にほど近い汐留地区に足を運んだ。高層ビルが林立する地区の地下街にあるリブロ汐留シオサイト店だ。

日テレ、電通のお膝元

同じビジネス街といっても前回の大手町と汐留とではずいぶん趣が異なる。ビルまたビルなのは同じだが、地下街には飲食店や物販店も数多く入居し、銀座、新橋といった繁華街も近い。そのせいかビジネスマン風ではない人もたくさん往来している。店長の大城優樹さんに売れ筋を聞いてみると、ずばり「企画関係の本がよく売れる」と答えてくれた。

いま売れているのは、鈴木おさむ『新企画』(幻冬舎)と熊野整『外資系投資銀行の資料作成ルール66』(プレジデント社)だという。鈴木氏は放送作家。お笑いトリオ、森三中のメンバー大島美幸さんの夫としても知られる。売れっ子放送作家がテレビやネット番組の新企画22本を一挙公開、企画を考えるプロセスとともに明らかにした内容だ。汐留は民放の雄、日本テレビと電通が本社を構える。そんな土地柄が反映するらしい。

一方の熊野氏は投資銀行を経てキュレーションアプリのスマートニュースで財務部門の責任者を務める。投資銀行時代に培ったエクセルを使いこなすスキルを基にエクセルセミナーで人気を博し、「エクセルの鬼」とも呼ばれる。そのノウハウをわかりやすく解説した本で、これも企画書づくりに悩む汐留のビジネスパーソンに売れているようだ。

客層の中心は40歳代~50歳代の男性と20歳代~30歳代の女性。ほかの書店と同様、部門別では雑誌が一番よく売れるが、そこに続くのがビジネス書で、文庫・新書、文芸などの一般書をしのぐ。それだけに入り口から入って正面にあるメーンの平台もビジネス書を軸に構成している。冒頭の写真もメーンの平台の一部だ。「新刊中心ではなく話題のテーマなどで平台をつくりたいが、なかなか手が回らない」と大城さん。その分、「棚ざしプレートで話題のテーマに関連した本を目立たせるようにしている」と言い、小ぶりな店舗に似合った小回りのきいた棚づくりを心がけている。

『一流の育て方』『すごいメモ。』がランクイン

同店の先週(4月4日~4月10日)のベストセラー(ビジネス書)を見ると、前回の紀伊国屋書店大手町ビル店とは1冊もかぶっていない。紀伊国屋にまとめ買いが入ったとはいえ、ここまで違うとはちょっとした驚きだ。1、2位には、店長があげた2冊が並ぶ。3位の『一流の育て方』は2月の刊行。東洋経済オンラインで人気連載を持つ2人が、自分から勉強するようになる子どもの育て方を語った一冊だが、「ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる」という副題が部下の人材育成が気にかかるミドル層の琴線に触れたようだ。

(1)新企画鈴木おさむ著(幻冬舎)
(2)外資系投資銀行の資料作成ルール66熊野整著(プレジデント社)
(3)一流の育て方ムーギー・キム、ミセス・パンプキン著(ダイヤモンド社)
(4)すごいメモ。小西利行著(かんき出版)
(5)大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる井堀利宏著(KADOKAWA)

(リブロ汐留シオサイト店、2016年4月4日~4月10日)

4位は、サントリーの緑茶「伊右衛門」のコピーなどを手がけた売れっ子コピーライターによる仕事術の本。自身のパフォーマンスを支えるのはメモと言い、メモを使った仕事術を「人生を変える14のメソッド」として紹介している。これもまた企画のことが頭から離れない汐留のビジネスマンが思わず手に取っているに違いない。1月の刊行ながらまだベスト5に顔を出している。

これを超えるロングセラーなのが5位の井堀氏の本。刊行は昨年の4月。全国的にもロングセラーになっており、経済や経済学をざっと知りたい人をひきつけている。

(水柿武志)

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