『X-ファイル』など往年の人気シリーズが次々と復活
海外ドラマはやめられない!~今 祥枝
このところ、1990年代以降に人気を博したシリーズの復活が目立っています。ファミリー・コメディ『フルハウス』(1987~95年)は、2016年2月よりネットフリックスで新シリーズ『フラーハウス』として配信開始。さらに同社は、『ギルモア・ガールズ』(00~07年)の復活版の撮影に入っています。17年にはShowtimeで、『ツイン・ピークス』(90~91年)の新シリーズの放送が予定されています。
そんななか、大きな注目を集めて1月から放送スタートしたのが『X-ファイル』の新シリーズです。同作は、UFOや超常現象を追うFBI捜査官フォックス・モルダーとダナ・スカリーのコンビの活躍を描き、本国では93~02年にかけて9シーズンが放送され、2本の映画も公開されるなど社会現象を巻き起こしました。
特にファンが熱中したのが、つかず離れずだったモルダーとスカリーの関係性。最終的にはスカリーがモルダーの息子を出産、養子に出すといった展開でしたが、本筋も含めて多くの謎を残したままシリーズは終了しました。だからこそ、ファンの根強い復活待望論があったとも言えます。
親子2世代が楽しめる作り
事前の期待値の高さに応える形で、本作は好調な滑り出しを見せました。さすがに演じるデヴィッド・ドゥカヴニー、ジリアン・アンダーソンは年をとったなあと思わせるものの、第1話の冒頭はUFOネタから入ってつかみはばっちり。全6話のうちシリーズを通して描かれた謎を扱ったエピソードは3話で、残りは1話完結となるようです。
冒頭、カップルだったはずのモルダーとスカリーは別れていますが、再び一緒に超常現象の謎に挑むことに。しかし、かたくなに超常現象や政府の陰謀説を信じていたモルダーは、これまでとは違った見解を抱いている様子。また9.11後の社会情勢を踏まえて、数々の謎には新たな解釈が加えられているようです。お決まりのパターンを踏襲して旧ファンを喜ばせつつ、全く新たな展開はコアなファンでなくとも楽しめるでしょう。
当時ドラマに熱中した人々の中心は、現在は40代以上と想定され、年齢層が上がる一方のテレビのメイン視聴者層とマッチします。また、再放送やDVDなどで新たなファンも獲得しており、親子2世代で新シリーズを楽しむケースも考えられます。この方法が成功すれば、定期的にイベントシリーズとして続く可能性は十分にあり得ます。
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今月のオススメドラマ
『Empire/エンパイア 成功の代償』
音楽業界の帝王の後継者をめぐる3兄弟の争い
ドラッグディーラーからラッパーとして成功し、大手レコード会社エンパイアを一代で築いたルシウス・ライオン。筋萎縮性側索硬化症(ALS)で余命3年を宣告されたことを秘密にしたまま、株式上場が近い会社の後継者を性格が異なる3人の息子の中から選ぶと宣言する。加えて、彼らの母親でルシウスの元妻クッキーが17年ぶりに刑務所から出所してくる。巨万の富をめぐる一族のどろどろとした争いは、殺人をもいとわない熾烈なものとなっていく…。
音楽界の大物プロデューサー、ティンバランドが手がけるミュージック・シーンも話題の『Empire/エンパイア 成功の代償』。2015年1月より米FOXで放送がスタートした直後から全米で熱狂的なブーム現象を巻き起こし、全米視聴者数ランキングのトップを争う大型のヒットシリーズだ。
センセーショナルで過激な内容もさることながら、ミュージシャンでもある次男役ジャシー・スモレット、三男役の新星ブリシャー・グレイらキャストのパフォーマンスが見もの。共にオスカー候補歴のある、ルシウス&クッキー役のテレンス・ハワードとタラジ・P・ヘンソンも歌を披露するほか、ナオミ・キャンベル、コートニー・ラヴ、ジェニファー・ハドソンら豪華ゲストもドラマを盛り上げる。
映画&海外ドラマライター。女性誌、情報誌、ウェブ等に映画評やインタビュー等を寄稿。「BAILA バイラ」「eclat エクラ」「日経エンタテインメント!」映画サイト「シネマトゥデイ」などに連載中。著書に『海外ドラマ10年史』(日経BP社)
[日経エンタテインメント! 2016年4月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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