難聴の「耳詰まり」に即効性 予防にもなる呼吸法
突発性難聴、低音部型難聴、メニエール病には心身のリラックスが大切。それには「お腹の膨らみを意識する腹式呼吸がいい。脳の交感神経の興奮が鎮まり、耳鳴りや耳詰まり感の解消にも即効性がある。病気の予防にもなる」とJCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科の石井正則診療部長は話す。
ヨガ指導者でもある石井診療部長は難聴の治療の一環として『第二頸髄(けいずい)刺激呼吸法(C2呼吸法)』、『ハチの羽音呼吸法』などを取り入れている。
C2呼吸法は、首の後ろを通る第二頸髄という神経と筋肉を自重で圧迫して一度交感神経を高め、次に緩めて緊張をとる方法。「12週間続けたあとに自律神経などを測定したら、副交感神経が優位になって症状が改善していた」と石井診療部長。またハチの羽音呼吸法でも、「α波が高くなって副交感神経が活性化するデータがある」(石井診療部長)。
一方、難聴の改善には、「血流をよくするといいことが分かっているので、ウオーキングなどの有酸素運動も積極的に行いたい」と国際医療福祉大学病院耳鼻咽喉科の中川雅文教授はアドバイスする。
この人に聞きました
JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科医長などを経て、現職。スタジオ・ヨギー公認ヨガインストラクターとしても活動中。著書に『耳鳴りがスッキリする呼吸がわかった』(マキノ出版)など。「耳鳴り、難聴の改善にはがんばり過ぎにも注意して」
国際医療福祉大学病院耳鼻咽喉科教授。順天堂大学医学部客員准教授などを経て、現職。耳とコミュニケーション研究の第一人者。著書に『耳がよく聞こえる!ようになる本』(河出書房新社)など。「加齢による難聴は、動脈硬化などによる血流の悪化も原因。有酸素運動で体の循環アップを」
(ライター 海老根祐子、構成:日経ヘルス 羽田光)
[日経ヘルス2016年5月号の記事を再構成]
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