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「寝る前スマホ」が老化を加速 体内リズムを整えよ

日経ヘルス

2016/5/15

PIXTA
日経ヘルス

「老化のスピードには、体内時計の乱れが大きく関係していることが、近年の研究でわかってきた」と話すのは、生物の生体リズムに詳しい東京医科歯科大学教養部の服部淳彦教授だ。

体内には、体を活動や休息に適した状態にしたり、体温やホルモン分泌を変動させる1日のリズムがある。このリズムをつくるためのシグナルを発するのが体内時計だ。体内時計は時計遺伝子によってコントロールされている。

「時計遺伝子に何らかの異常が起きて体内時計が乱れると、老化のスピードが速まったり、メタボリックシンドロームになりやすくなることが動物を使った研究からわかっている。また、昼夜交代制勤務など生活リズムが不規則な人は、生活習慣病などのリスクが高いという報告もある」(服部教授)

■睡眠に“メリハリ”でアンチエイジング

(イラスト:金子なぎさ)

そこで力を発揮するのが、体内時計の情報を伝えるメラトニンという物質だ。「メラトニンには基本的に、夜間に分泌量が増え、昼間の分泌量は少ないという明確なリズムがある。全身の細胞に“夜が来た”という時刻情報を伝え、睡眠や休息を促す役割を担っている」(服部教授)

睡眠は新陳代謝を促す成長ホルモンの分泌を高める。老化予防にはメラトニンをきちんと分泌させて深い眠りを得ることが重要だが、「夜に強い光を浴びるとメラトニンの分泌が抑制されて、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなりやすい。とくに気をつけたいのが就寝前のスマートフォン。液晶画面のブルーライトが網膜に強い刺激を与え、脳に『朝だ』と誤った認識をさせてしまう」(服部教授)。

一方、朝はしっかり光を浴びるのがいい。「体内時計がリセットされて夜間のメラトニンの分泌量が増えるため、質のいい睡眠が得られるようになる」(服部教授)

実は、メラトニンには強力な抗酸化力がある。「メラトニンはほぼすべての生物に存在するが、もともと生物は夜行性だったと考えられている。夜間の活動によって生じる活性酸素を除去するため、この抗酸化力が備わった可能性もある」(服部教授)

メラトニンの分泌を高めるには、に挙げたメラトニンを多く含む野菜も有効だ。「これらの野菜を2カ月間続けて摂取したら、夜間のメラトニンの分泌量が増加したというデータもある」(服部教授)

■リズムが狂えば肌の老化にもつながる

体内時計は細胞一つひとつにも備わっていて、細胞が「夜」の状態のときに肌のコラーゲンの産生量が高まることがわかってきた。体内時計を整えることは肌の老化予防にもなりそうだ。肌の概日リズムを補正する働きをもつ成分や化粧品の研究開発も進められている。

資料提供/ロート製薬

肌の代表的な時計遺伝子の一つ「PERIOD」は、日中の発現量が高い。しかし、老化した肌細胞を調べると、正常な細胞が「夜」状態になる16時間後になっても発現量が下がらなかったという研究がある。

■この人に聞きました

服部淳彦教授
東京医科歯科大学教養部生物学。1991年にメラトニン研究の第一人者、ラッセル・J・ライター博士のもとで研究を行い、日本にいち早くメラトニンを紹介した。ほかに分子内分泌学、抗加齢医学、時間生物学、老人性骨粗しょう症、加齢性記憶障害などを研究

(ライター やまきひろみ)

[日経ヘルス2016年5月号の記事を再構成]

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