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「女性活躍」最大の壁 偏見という名の怪物 女男 ギャップを斬る(水無田気流)

2016/4/10

2月末、気がかりなブログ「炎上」事件が起きた。ある家事代行業者の男性執行役員(当時)が「女性に読んでほしくない女性のマネジメントについて」と題して書いたものだ。

「女性という生物の特徴を知ること」が大切と説き、「(女性は)1、口は出すが責任は負いたくないわがままな生き物」「2、数字だけでは燃えてくれないめんどくさい生き物」「3、解決しなくても共感してくれればいいと思ってる意味不明な生き物」等と述べた。

この文章には女性とうまく協業しようという素晴らしい意図を灰じんに帰して余りあるほどに、残念な点が3つ挙げられる。

第一は、この文章が全面的に女性に対する侮蔑表現で書かれている点である。家事代行業という、女性従業員比率が高い分野に携わる人がこの心性とは驚いた。差異を論じるだけならば、たとえば「1、個別的な立場を問わず、率直な意見を述べる」「2、目先の数字目標ではなく、何のために取り組むべきかなどの内実を重視する」等であれば問題なかったはずだ。

第二は、3の要点で彼が侮蔑対象とした「共感」こそが、当該分野では重要だという点である。家事など日常的な対人サービスに終わりはなく、解決よりも顧客の共感とそれに基づく納得や信頼を勝ち得ることこそが肝要ではないのか。それゆえ3の要点は、「共感能力にたけた女性の資質を最大限に引き出すことが、マネジメントの鍵」等と書いてほしかった。

第三は、件のブログはすでに削除されたが、当該企業サイトには当人ではなく上司(しかも女性)の謝罪文が掲載されていた点である。これは「口は出すが責任は負いたくない」のは女性に限らない点を、身をもって示したのかもしれない。

今月1日より女性活躍推進法が施行されたが、日本の企業には今なおこのような女性観をもつ人が少なからずいることが危惧される。日本女子大学・大沢真知子教授の調査によれば、「女性は昇進意欲に乏しい」等の先入観が高学歴女性に十分な能力開発機会を与えない傾向につながり、結果女性が就労意欲を失い離職する主要因となっている。

「女性活躍」の最大の壁は、この国に巣くう偏見という名の怪物かもしれない。

みなした・きりう 1970年生まれ。詩人。中原中也賞を受賞。「『居場所』のない男、『時間』がない女」(日本経済新聞出版社)を執筆し社会学者としても活躍。1児の母。

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